<登場人物>
(攻)加賀木実彦(かがき さねひこ)…長男。予備校生。持病がある。(受)加賀木虚空(かがき こう)…次男。高3。写真部。
(攻)鈴木(すずき)…後藤の舎弟。
(受)後藤(ごとう)…弟分の罪を被り16年服役。
<あらすじ>
高校生の虚空は、不仲の兄・実彦が運転する車内で揉み合いになり、車ごと崖から転落。車内から出たあとも襲ってきた実彦を思わず突き飛ばし、頭を打って動かなくなった実彦とともに病院に運ばれます。<感想>
色々衝撃の連続で、読み終わったときにはしばらく放心していました。手段を選ばないコウ、コウの実の兄・サネヒコの歪み、殺し合いに発展した兄弟喧嘩。そんなふたりを生み出したこれぞ毒親な両親の仕打ちに息が詰まりそうになりながらも、彼らの行く末が気になって最後まで目が離せませんでした。殺し合い、というよりは兄からの一方的な暴力だったわけですが、事故後は記憶を失ったといって豹変したサネヒコ。一転して加賀木家の良心のような、清い心の持ち主のごとくふるまうのがそれはもう不気味で。兄は何かを企んでいるのではと疑うコウの気持ち、ものすごくわかります。
結果、企みを持っていたのは全く別方面の人たちだったわけですが、それが世の中を揺るがすほどの大事件に発展するとは完全に予想外でした。事件には関係ない人たちにまで波紋を呼んでいく様子がリアルに感じられて、とても他人事とは思えませんでした。コウの高校の友人や警察の人々が良い人たちだったのが救いでした。
本編後に収録の「檻の中の面影」はサネヒコの回想に登場していた鈴木×後藤編。事件発覚よりも前からの話だと思われ、最終的に本編の時系列に合流していくのが巧みで唸りました。こちらのお話のおかげで、本編で後藤さんがサネヒコに対しちょっと理解のある感じだったのと、最後に見せた涙の理由が少しわかるような気がしました。自分には誰も救えないと思っていた後藤さんに、少なくとも真は幸せへの道がひらけた事実が伝わったのなら本当によかったと思います。
職業上、鈴木×後藤に救いがないのは当然だとは思うものの、後藤さんが受という事実にものすごくBL萌を刺激されました(萌えている場合ではないのですが)。鈴木の気持ちに応えられない代わりに、それ以外のほぼすべてを許してくれる硬派な兄貴ムーブがたまりませんでした。
<オススメ>
・正体不明の兄×疑心暗鬼の弟。・執着系弟分×妻子持ち兄貴。
<関連作品>
・電子書籍(お試し読みができます。)DMMブックス
