HEARTLESS /ニシンマスミ 【漫画感想】

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<登場人物>

 (攻)(受)マヌエル…吸精鬼の「情夫」。口がきけない。

 (受)ナルコ…「吸精鬼」。美しい容貌のサキュバス。


 (攻)パトリック…「狩猟クラブ」リーダーの息子。人の皮膚を通して心が読める。

 (受)オズモンド…「狩猟クラブ」団員。車椅子。


<あらすじ>

 口のきけないマヌエルは、人の心臓を喰らう吸精鬼と山奥でひっそりと暮らしています。彼らは「吸精鬼と情夫」と呼ばれ、異端狩りを称する「狩猟クラブ」の標的となります。
 取り逃がしてしまった「吸精鬼と情夫」について父親が何か隠していることを悟った狩猟クラブのパトリックは、単独でマヌエルへと接触を試みます。


<感想>

 帯による仕掛けがほどこされた表紙に、カラーイラスト2P、どれも宗教画のような美しさにため息が零れます。内容もイメージを裏切らず、エログロ、悪魔、カルト集団などなどまるでホラーサスペンス系の海外ドラマを見ているようでした。

 まず1話目である「CHAPTER 1」の扉絵で、かわいい鹿さんがお亡くなりになっています。それを見つめる無表情のマヌエル……あ、そういう感じなのですね、とここで覚悟が決まりました。私はグロい系のお話を見ると具合が悪くなる面倒な性質なんですが、それでも美しいものを読みたいという気持ちがガツンと上がってしまいました。

 吸精鬼の「ナルコ」という名前は後半になってから明かされ、前半は声の出せないマヌエルが心の中で「母さん」と読んでいます。ナルコは人の心臓を食べて生きるオスのサキュバス。食事のときは人を誘惑して痛がらせないようにするため、ホラーっぽい絶叫展開にはなりません。加えてむやみに食事をするというわけではなく、食べられる人間についても自分達に危害を与えようとするろくでなしばかりなので、なんとなくナルコの方がイイやつに見えてしまいます。

 山奥でひっそりと暮らしているナルコとマヌエルでしたが、悪魔や人狼を狩る「狩猟クラブ」に目をつけられ、「吸精鬼と情夫」と呼ばれ標的にされます。

 この「狩猟クラブ」側の人間として、パトリック×オズモンドが登場します。人に触ると心が読めるサイキックのパトリックと、過去のミスが原因で足が悪くなったらしいオズモンド。このふたりは恋人といっていいのか微妙なところではあるんですが、BLっぽい雰囲気はこちらの方が強いような。

 複雑に練られている展開に何回か読み返してようやくわかるものも多く、読んだ方々の感想や解釈が気になるお話でした。私はマヌエルと意思疎通できたのがパトリックであることと、「ナルコ」というネーミングが特に気に入っています。

 あとは何かといいところで現れる鹿さんたちが好きでした。実はマヌエルやナルコの先祖と関わりがあったりするのでしょうか。「血筋」についても気になるところです。

 多くはないですがグロ方面の描写と、ナルコとマヌエル共に他の人との絡みシーンがあるので(マヌエルについてはほぼ拷問)苦手な方にはオススメできませんが、耐性のない私でも何度も読み返してしまうくらいおもしろいお話でした。『HEARTLESS』というタイトルにも納得です。


<オススメ要素>

・ちょいグロ、白蝙蝠、カルト集団。


 地雷注意:カニバリズム、無理矢理(モブ×マヌエル)など。


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