WEB配信されていた「かわいいおバカといいヤクザ」を改題した表題作（１～５話）と、「変わって気づいて愛羅武勇！」１～２話が収録されています。カバー下は表題作のふたりのイラストと漫画が１Pずつで、優のアパートの物件広告が見られます。
『ヤクザの恋人はアホかわいい』（表題作）
＜登場人物＞
（攻）弓削譲司（ゆげ じょうじ）…双龍会弓削組のヤクザ。
（受）優（ゆう）…体を売ってその日暮らしをしている。
＜あらすじ＞
街でウリをしている優は、危ない目に遭っていたところを譲司に助けられて以来すっかり懐いています。譲司がヤクザだと知りつつ明るく金をせびりにくる優に、譲司は何度も職に就くよう説得してきました。しかし、優がまた街で客を取ろうとしているのを発見した譲司は、根性叩き直してやろうと優を事務所に連れ込みます。
＜感想＞
捨て猫に餌あげちゃう系の優しいコワモテヤクザ・譲司さん。いつでも明るいアホキャラの優を助けてからなぜか懐かれ、しょっちゅう金をせびられています。優はといえば基本ヘラヘラしているものの、その生い立ちはなかなかにハード。すらっと話してくれるので空気は明るいままながら、そんな優を譲司さんが放っておけないのもわかる気がします。
そして優はただアホなだけではなくて、けっこう人の本質を見抜いているようなことをたまにポロっと言ってくるので侮れません。しかもウリをやっているだけあって夜の方はおそらく譲司さんよりも慣れています。それなのに、ベッドの上で譲司さんに子供にするように撫でてもらったとき、優が一番嬉しそうにしているのが胸に刺さります。
後半で二人の過去に関する新たな事実が判明し、ラストは意外な方へと向かっていました。中盤まではなんとなくふたりはこのままのノリと距離で付き合っていくのかな、とばかり思っていたのでびっくりです。ヤクザという立場から逃げずにケジメをつけた譲司さんと、最後まで強さを見せてくれた優と、確実に将来有望な霞ちゃんに拍手を送りたいです。
描き下ろし「譲司と優」では、その後のふたりがちょっと怖い場面も挟みつつ、楽しく過ごしているのが伝わってきてほんわかしました。譲司さんかわいかったです。
『変わって気づいて愛羅武勇！』
＜登場人物＞
（攻）山本洸太（やまもと こうた）…会社員。元ヤン。
（受）大吾（だいご）…オカマバーで働いている。洸太のヤンキー時代の相棒だった。
＜あらすじ＞
親友として青春時代を共に過ごした洸太と大吾。しかし大吾は突然洸太の前から姿を消してしまいます。
その後一人で就職した洸太は、上司に連れていかれたオカマバーで女装した大吾と再会します。
＜感想＞
ヤンキー時代の青春を相棒として楽しく過ごしていたはずなのに、洸太の前から突然いなくなった親友・大吾。それが洸太が社会人になってから、オカマバーで女装した大吾と偶然の再会という衝撃的な始まりです。
お察しの通り、大吾は洸太のことが好きで姿をくらましていたわけですが、大吾は最初こそ洸太から逃げたものの、バレてしまってからの潔さはさすが元ヤン。正面切っての「俺に惚れろ」には痺れました。
女装が板についている大吾も、腕っぷしは強いままでしかも洸太の前ではちょっと泣き虫になるのがかわいかったです。しかも純情。描き下ろしでは洸太の純情さも明らかになっていて、お似合いのふたりでした。
＜オススメ要素＞
・優しいヤクザ×アホかわ売り専。
・元ヤンの再会。
＜関連作品＞
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