傲慢社長の甘い求愛 神香うらら(著)/明神翼(イラスト) 【小説感想】
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<登場人物>
(攻)ゴードン・ゼルニック…ニューヨークにあるアンティークショップ『エイプリル・ローズ』の二代目社長。
(受)笹川薫(ささがわ かおる)…エイプリル・ローズの社長アシスタント。
<あらすじ>
薫がアンティークショップ「エイプリル・ローズ」に社長アシスタントとして就職して1年。商才がありながらもアンティークには興味のなさそうな社長とは、時々ぶつかりながらも上手くやっています。
風邪を看病してもらって以来、ゴードンに密かな恋心を抱くようになった薫。ゴードンには、以前アプローチされた男を振ったことがあるという噂があり、薫は自分の気持ちを必死に隠そうとしますが……。
<感想>
基本は受の薫の視点で進むのですが、始めはこの薫のキャラクターがうまくつかめずに少し困惑してしまいました。幼少期をアメリカで過ごした帰国子女で、日本ではあまり上手く過ごせずにアメリカで就職しようとしたけれど、成績は良いのにあがり症のせいで面接に通らない……舞台が私の生活圏とは程遠いニューヨークということもあってか、人物像が浮かばなかったんです。
ですがそんなふわっとした印象のせいか、薫の変わった趣味が明らかになるとこれが意外としっくりきました。最後の方で薫自身も家族にすら何を考えているのかわからないと言われる、といっていて、ああわからなくてよかったんだとここで納得しました。
攻のゴードンも、絶妙なお方でした。タイトルに「甘い求愛」とあるとおり、薫にアプローチをかけているのは読者の側からみれば一目瞭然なのですが、これが薫からしてみればただの思わせぶりか、初心な薫をからかっているだけ、に見えてしまうのです。本編のあとに収録されている『傲慢社長の甘い苦悩』で、ゴードンがいつから薫に目を向けていて、どういうつもりで行動していたのかが明らかになるのですが、まあそんな気はしてたけどちゃんと言わないとわからないよ!!と薫に代わって突っ込みたくなります。
いろいろなところが絶妙なバランスで、自分の中にある枠には嵌らないのに違和感も感じない、不思議な感覚のまま読み終えました。
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