ラストセブンデイズ―天使の穢し方― /ひつじま羊 【漫画感想】

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<登場人物>

 (攻)白川息吹(しらかわ いぶき)…大学生。優等生。

 (受)沢口しおん(さわぐち しおん)…大学生。天然系。


<あらすじ>

 保育園からの幼馴染の息吹としおん。優等生の息吹と天然系のしおんは大学も同じで、しおんは息吹にずっと憧れてきました。しかし、ある日突然「いい子だから」と理由で天使の姿にされてしまったしおん。謎の声に、「神さまの子ども」として7日後にあの世に連れていくと宣言されます。


<感想>

 幼馴染の息吹の部屋に遊びにきていたところを、突如白い羽が生えた上に天使のわっかまで現れ、7日後にあの世に連れていかれる宣言されてしまったしおん。謎の声によれば、「いい子だから」「神さまの子ども」に選ばれたのだそうです。

 あまりにも唐突な事態ではありますが、しおんの羽は本物のようだし、しかもしおんの五感が日に日に失われていく現象に息吹も焦ります。しおんを渡すまいと次第に追いつめられていく息吹、ふたりのラストセブンデイズは、読んでいて途中何度かめまいを覚えるほどに濃かったです。

 天使の姿になってしまったしおんは外に出られないので、ふたりはずっと息吹の部屋で過ごしています。閉ざされた空間での息苦しさを感じつつも、そこにふたりの回想が入ったり、しおんを心配して訪ねてきた友人・来栖が巻き込まれたりと単調さを感じさせない展開になっているのはすごいと思いました。

 「いい子」認定されたしおんを連れていかれないためと、しおんを穢すことにした息吹は、はじめこそ自分の本心を隠しているつもりでいます。それがしおんが失っていく五感と引き換えるように、本心と真実が暴き出されていく過程からは目が離せませんでした。

 その一方でしおんの視点も描かれていて、しおんについては本人すら自覚していなかった気持ちまで明らかになっていました。一度読み終わった後、この設定に他のキャラクターを当てはめてみてもおもしろそうだな、と考えたりしたのですが、息吹としおんの組み合わせだからこそこのシチュエーションがよかったのだと、しおんパートを読み返してみたときに感じました。

 神さまのイタズラに振り回される一風変わった人外モノでしたが、より人の本質を見せられたような気分になる不思議なお話でした。


<オススメ要素>

・死が迫る密室での七日間。


<関連作品>

・電子書籍(お試し読みができます。)

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