恋と小梅とご主人様 松幸かほ(著)/古澤エノ(イラスト) 【小説感想】

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<登場人物>

 (攻)藤木和鷹(ふじき かずたか)…忠昭の孫。フリーター。

 (受)小梅(こうめ)…梅酒の精。19歳。見た目は15、6歳。


 藤木忠昭(ふじき ただあき)…和鷹の祖父。多くの酒を大切にコレクションしていた。


<あらすじ>

 和鷹の祖父・忠昭が自宅の蔵にコレクションしていた酒には精が宿り、人の姿となって忠昭と楽しく暮らしていました。忠昭が亡くなり、蔵の管理を任されたのは孫の和鷹。和鷹がどんな人間なのか気になっていた酒たちですが、ある日突然蔵を訪れた和鷹に梅酒の小梅が連れていかれてしまいます。


<感想>

 大切にされていたお酒に精が宿り、主人を囲んで毎日みんなで晩酌……なんて素敵な光景。メインとなるのはもちろん和鷹と小梅の恋愛模様ですが、時折語られる和鷹のおじいさん・忠昭を偲んでの思い出話がそれはもう美しいのです。奥様に先立たれてしまった忠昭が、最期まで大切にしていたのが奥様の漬けた梅酒。その梅酒の精たちと一緒に楽しく過ごしていたエピソードには、私のただれた心が浄化されるようでした。

 そんな綺麗な思い出の残る場所にやってきた、忠昭の孫の和鷹。悪い人ではなさそうですが、出会ったその日に酔って小梅に手を出すどうにもつかみどころのない人。他の酒の精たちが、和鷹がきちんと蔵や酒の管理をしてくれるのか不安に思うのも頷けます。

 和鷹自身については、厄介な親戚がいるもののそんなことが問題にならないくらいの人物で、遺産相続についてはすんなり解決。しかしすべてが片付いたと思ったところで小梅を襲った事故には胸が痛みました。まさかのお方の登場は忠昭のお導きでしょうか。ハッピーエンドを信じていましたが、最後はほっと胸をなでおろしました。

 電子特別版には本編のその後のお話が収録されていました。なんと母屋をリフォームし、酒の精たちが古民家カフェを営んでいます。変わらず個性的な皆様がそれぞれの得意分野で活躍していてほっこりしました。うちの近所にもこんなカフェがあったらと羨ましくなります。

 お話とは関係ありませんが、こちらの夢のような蔵、チャーリーの件を見るに他のお酒も持ち込めば精が宿るのでしょうか。身の回りのお酒の精がいるとしたらどんな感じになるのか、妄想が膨らみます。


<オススメ>

・見た目はニート×かわいい梅酒の精。


<関連作品>

・電子書籍(お試し読みができます。)

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