蟷螂の檻 5 /彩景でりこ 【漫画感想】

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<登場人物>

 (攻)深山典彦(みやま のりひこ)…當間家の使用人。

 (受)當間育郎(とうま いくろう)…當間家の表向きの当主。


 西浦健一(にしうら けんいち)…當間家の使用人。ハーフ。蘭蔵の世話係。

 當間蘭蔵(とうま らんぞう)…育郎の兄。當間家の遺産相続人。妾の子。


<あらすじ>

 育郎と蘭蔵は飯田に保護され、東京で暮らし始めます。3人での生活は穏やかに過ぎていくものの、育郎は心に虚を抱えたまま。汚職事件を追う飯田の質問にも淡々と答えます。


<感想>

 ほ、本当に終わってしまいました……。ここにきてさらに衝撃の事実が匂わされていたりと、最後の最後まで目が離せない完結巻でした。終わるその瞬間までドロドロのモヤモヤ、私にとっては理想とも言えるラストを拝めて満足です。

 村を出て典彦からも解放された育郎と蘭蔵の生活はそれはもう穏やかでまとも。元凶から離れるだけでこんなにも普通の生活が送れるのに、やはり育郎の心は典彦に捕らわれたままです。もしあのまま典彦と再会できなかったとしても、育郎は典彦を求めさまよい続けたのではないでしょうか。

 泣いている弟と遊んであげたかったお兄ちゃん・蘭蔵も、その出自から願いまでが大人達に呪いのように刷り込まれたものだったのかと思うと切なくなります。どうか健一との未来が幸せでありますよう希望を託さずにはいられません。

 私は当人たちが幸せだと感じるならばどんなに理不尽な結末でもハッピーエンドだと思える性質なのですが、さち子の存在が典彦と育郎の選択が異様であることを思い出させてくれました。騒動の犠牲者でありながら、ずっと強かったさち子。さち子が怒り赦さずにいてくれるからこそ、典彦の狂人ぶりが際立つのがたまらないです。BLで受の妻というポジションなのに、こんなに応援したくなった女性は初めてです。

 また1巻に戻って読み返せばわかってくるものもたくさんありそうで、コミックスをいったり来たりが止まりません。純真だった育郎の「壊れるところが見たかった」典彦。その本懐が遂げられたとするならば、やはりこれは壮大なハッピーエンドなのだと思います。


<オススメ>

・シリーズ完結。


<関連作品>

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