たとえ業火に灼かれても 水壬楓子(著)/十月(イラスト) 【小説感想】

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<登場人物>

 (攻)瀬上隆生(せがみ りゅうせい)…捜査一課の刑事。30歳。

 (受)高倉左季(たかくら さき)…監察医。大学の特任准教授。30歳。


<あらすじ>

 1年の期限付きで日本の大学の特任准教授を務めることになった監察医の左季は、14年ぶりにアメリカから帰国します。日本とはこれで縁を切るつもりの左季でしたが、刑事になっていた幼なじみ・隆生と仕事現場で再会。そこへ導かれるように、かつての幼なじみたちが事件に巻き込まれていきます。


<感想>

 びっくりするくらい好みの作品に出会ってしまいました。最後まで読み終わった今もまだドキドキしています。

 刑事×監察医のサスペンスなので、雰囲気はずっとシリアス。その中で瞬間的に漂うBL的な甘さにすがりつき、萌を見出していく感覚がなんだか楽しくて抜け出せずにいます。すごくおもしろかったです。

 監察医の左季が14年ぶりに日本に帰ってきたのをきっかけのようにして、事件に巻き込まれていくかつての幼なじみたち。攻の隆生は刑事になり、他には左季と同じ法医学の道に進んでいたり弁護士になった人もいて、優秀な変人が多い印象です。そこへ影を落とすのが、シリアルキラーやサイコパスと呼ばれるお方々。個人的にはソシオパスも入っている気がしています。

 推理要素もあるので詳しくは書けないのですが、今起こっている事件と、左季たちの抱える過去が絡まっていく様子がかなりの緊迫感で、息つく間もなく読み終えてしまいました。こりゃ大変だ……と何度思ったことでしょう。そんな中での、高校生の左季が自分の恋心に気付いた瞬間は特に切なくて美しかったです。

 甘々ラブラブな萌とは異なる、酷な秘密を共有した男たちの闇一直線な関係に「私の求めていたのはこれだったのか……!」と新たな性癖を開拓していただけました。こんな愛の形も良いものですね。


<オススメ>

・刑事×監察医。
・幼なじみの再会。


<関連作品>

・電子書籍(お試し読みができます。)

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