<登場人物>
(攻)竜王様(りゅうおうさま)…八つの異世界を管理している神竜。
(受)保科陸(ほしな りく)…高校生。ブサイクな爬虫類顔のせいで不遇な環境で育った。
保科海斗(ほしな かいと)…高校生。陸の弟。どこに行っても期待される美形の優等生。
<あらすじ>
爬虫類のようなブサイクな顔に生まれた陸は、容姿端麗な家族から冷遇され、友達もできない高校生です。ある日突然、美形の優等生である弟の海斗と一緒に異世界に召喚されますが、そこで勇者として求められていたのは弟の海斗のみ。陸は以前の暮らしの方がまだマシだったといえるほどのひどい処遇を受けます。
絶望した陸でしたが、そこからさらに別の世界へとひとりで召喚されます。そこで待っていたのは、神竜である竜王様。陸の容姿を可愛らしいと褒め、情熱的に溺愛してくる竜王様に、陸は戸惑いつつも心を向けていきます。
<感想>
「ムーンライトノベルズ」に掲載されている作品が書籍化されたものです。第1~7章、余話、書き下ろしの『贈り物』が収録されています。
余話以外は基本的に陸の一人称「俺」で語られます。人によってはweb小説っぽいと感じるかもしれませんが、私はそれほど気にならず最後まで夢中になって読みました。来月4月19日に次巻が発売されるそうで、今から待ち遠しいです。
お金持ちで美男美女と評判の両親から生まれた陸は、下に弟と妹がいますが自分だけがブサイクな爬虫類顔で、その顔のせいで家の中でも離れに隔離され、ほとんどいないもののようにして扱われています。そんな不憫な陸が異世界に召喚されて竜王様に愛されるお話なんですが、陸が竜王様に出会うまでがとてもつらかったです。
ファンタジーな異世界に飛ばされたら不憫だった主人公はそこでは歓迎される、というのが王道かと思っていたのですが、陸についてはその見た目を愛してくれるのは本当に竜王様だけです。竜王様のお付きのカエルたちも気にしていませんが、彼ら以外は皆、陸の容姿に引いてしまいます。陸自身はとてもいい子なので、傷つきながらも自分のいる世界の人々と分かり合おうと努力します。涙ぐましいです。
だからこそ陸にとっては見た目まで愛してくれる竜王様がより特別な存在となるわけですが、この竜王様に愛される「お気に入り」には期限があります。この世界に召喚された人間は魂が変容してしまい、それに伴って竜王様の気持ちも覚めてしまうというのです。陸は竜王様のことが好きになっていくのに、陸の魂が変われば竜王様の心が離れてしまうという残酷な世界。切ないです。
今は互いの気持ちを通じ合わせ、竜王様もこのままの気持ちでいたいと思っているようですので、ひとまずは幸せそうなおふたり。書き下ろしの『贈り物』では、カエルさんたちにお土産を選ぶ陸が楽しそうで、一生懸命この世界に馴染もうとしている様子がうかがえます。
次巻はいろんなものをこじらせていそうな陸の弟が関わってきそうです。発売をとても楽しみにしているのですが、来月は忙しくなりそうなのですぐには読めないかもしれません……我慢できずにムーンライトノベルズの方に走ってしまいそうです。
<オススメ要素>
・異世界ファンタジー。
・不憫受と溺愛攻。
<関連作品>
・続編 (感想記事はこちらです)
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