従者ライフ 生太(著)/八百(イラスト) 【小説感想】

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<登場人物>

 (攻)燈明院紅夜(とうみょういん こうや)…高校生。風紀委員長。大企業の後継者。美貌の無表情鉄仮面。

 (受)久木忠津(ひさき ただつ)…高校生。副風紀委員長。紅夜の従者。シスコン。


<あらすじ>

 心の中では天使と呼ぶほど妹を溺愛している久木でしたが、愛する妹を庇ってトラックにはねられ死んでしまいます。
 ところが、久木が転生したのは妹がハマっていた乙女ゲームの世界。しかも、妹が一番グッズを集めていたキャラクター・燈明院紅夜の従者としてでした。
 いつか妹がこの世界に転生してくるかもしれない、という希望を捨てられない久木。前世で妹を誑かしていた紅夜に憎しみを抱きつつ、嫌々ながらも従者として過ごします。


<感想>

 400ページ超の分厚い本を途中でやめられなかった上に、読み終わった後に「ムーンライトノベルズ」に掲載されている未収録のお話まで漁りにいってしまい、久しぶりに深刻な寝不足になりました。夢中になりすぎてもうふらふらです。

 おもしろそうだな、と前々から思ってはいたんですが、「乙女ゲームの世界」「シスコン」というキーワードに躊躇してしまい、なかなか手を伸ばせずにいました。ですが、このふたつこそがこの物語をおもしろおかしくしている最重要ポイントでした。余計な先入観に囚われていた自分をひっぱたいてやりたいです。

 内容は、主様である紅夜様と、それに付き従う従者・久木のすれ違いのお話。重度のシスコン(純然たるシスコンで、妹を邪な目で見たりはしていないとのこと)の久木は、将来妹がこの世界に転生してきた場合、確実に紅夜様に恋をするに違いないと考えています。妹に悪い虫がつくのを阻止するため、久木は嫌々ながらも紅夜様の従者として7歳から仕え続けています。

 そして高校生になり、久木の思ってもみない形で妹と再会を果たします。しかし、主の紅夜様はそれがおもしろくありません。久木は相手が妹であることを紅夜様に説明できないので、紅夜様から見ればふたりが恋人のように見えています。久木に対して凄まじい独占欲のある紅夜様。久木への夜のお仕置きは次第にエスカレートします。

 その一方で久木にとっては、自分が妹と仲良くするほどに紅夜様の機嫌が悪くなるのは、紅夜様が妹を好きだから、という構図に見えています。天使のようにかわいい妹に惚れない男などいないという、シスコンのなせる業です。

 このふたりのすれ違いっぷりがもう本当におもしろくて。久木の気持ちについては読む人によって捉え方が変わりそうな気がしますが、久木から見た紅夜様の行動の表記が最後の最後で変わったので、それがとても嬉しかったです。

 それから肌色シーンも好みど真ん中でした。無理やりだったりスパ○キングなども見られますが、久木にとってはお尻ぺんぺん程度です。八百先生のイラストもしっくりきすぎて変な声が出ました。目つきの悪い男前従者受、最高です。

 今は読み終わってしまったのが寂しいので、いつかまた先生が更新してくださるのを心待ちにしております。一瞬でもいいので、ふたりの10年後が見てみたいです。


<オススメ要素>

・異世界転生。
・すれ違い主従。


<関連作品>

・電子書籍(お試し読みができます。)
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