竜王様のお気に入り!竜の至宝は微睡む 野羊まひろ(著)/螢子(イラスト) 【小説感想】

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<登場人物>

 (攻)竜王様(りゅうおうさま)…リューイ。八つの異世界を管理している神竜。

 (受)保科陸(ほしな りく)…高校生。ブサイクな爬虫類顔のせいで不遇な環境で育つ。竜王様の「お気に入り」として召喚された。


 保科海斗(ほしな かいと)…高校生。陸の弟。陸とは別の世界・ファグダンドルに勇者として召喚された。

 エルミア…リュティビーアの王子。陸を慕っている。


<あらすじ>

 いつか別離のときがくると認識しながらも、互いに恋心を持つ陸と竜王・リューイ。陸は容姿のせいで自分に自身が持てずにいましたが、気にせずに接してくれるリュティビーアの人々とも友情を育んでいきます。
 そんなとき、リューイの不穏な態度に不安を覚え、勢いで白碧城を出た陸。そこで突然、弟の海斗によってファグダンドルへと無理矢理連れ去られてしまいます。


<感想>

 「ムーンライトノベルズ」に掲載されている作品が書籍化されたもので、『竜王様のお気に入り!ブサイク泣き虫、溺愛に戸惑う』の続編になります。幕間、余話、第8~12章、後日談、書き下ろしの『オーロラの下で』が収録されています。

 前巻では、陸は将来の別離に備えて気持ちを言葉にはできないものの、互いに心を通わせ合ったふたり。はじめに収録されている幕間はリューイ、余話はリュティビーアの王子・エルミア視点でそれぞれの想いが語られますが、陸がリューイだけでなく周囲からもとても愛されているのが伝わってきます。

 リューイとの恋心やリュティビーアの人々との友情については、陸の努力が実り良い関係を築けている様子が見てとれます。ですがそこでほっと安心したのも束の間。本編に突入すると、陸が海斗のいる世界に無理矢理連れ去られてしまいます。

 そこで明らかにされる海斗の境遇と本心。海斗が勇者として召喚されたファグダンドルでの環境は聞くに堪えないほど悲惨で、同情せざるを得ないものでした。しかし海斗が元から持っていた兄への執着心も凄まじいもので、これまでの陸への仕打ちを考えればやはり陸はリューイといる方が幸せになれそうだと感じました。

 それについては先生のあとがきでリューイと海斗の違いについて触れられていて、なるほどと頷けました。海斗が結局どうなったのかを、知りたいような、知りたくないような。

 そしてファグダンドルではどうにかリューイに助けられたものの、瀕死の状態になってしまった陸。陸の目が覚めるのをずっと待っていたリューイの気持ちを考えると切ないですが、その分、陸が目覚め、すべての問題が解決された後は涙ぐましいほどに甘かったです。前作からの伏線もしっかり回収、大団円です。

 書き下ろし『オーロラの下で』では、竜王様が激しいほどの嫉妬を覚えていらっしゃいました。ちょっとエルミアの身が心配になりました。

 イラストも前作から通してとても素敵でした。ブサイクといいつつ絶妙に可愛く見える陸、ドラゴンやカエルさん。中でもソラについては先生の文章との相乗効果でもうかわいくてかわいくて触りたくなってしまいました。裏表紙のカエルさんたちが陸の贈り物を身につけているのも、とても嬉しくなりました。


<オススメ要素>

・異世界ファンタジー完結巻。
・溺愛攻×健気受。


<関連作品>

・前作 (感想記事はこちらです






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