プリンス・ノワール /りーるー 【漫画感想】

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<登場人物>

 (攻)徳江工(とくえ たくみ)…徳江組二代目組長。事故に遭い、記憶が退行。

 (受)勝瀬時雄(かつせ ときお)…徳江組若頭。工が10歳の頃から世話をしている。


 黒田美智留(くろだ みちる)…徳江組構成員。工とは対立する派閥に属しており、上から嫌われている。


<あらすじ>

 徳江組二代目組長の襲名直後に細工された車で事故に遭い、頭部打撲により記憶が小学生まで後退してしまった工。ずっと工の世話をしてきた若頭の勝瀬は、周囲に工の状況を隠しつつ、フォローを続けます。
 しかし、人柄が変わってしまった組長に周囲も次第に工の実情に気づき始めます。


<感想>

 大好きなりーるー先生、BLでの新しい単行本が出る毎にいろいろな方面で容赦がなくなってきているような気がします。私は今作も含めどれも大好きなんですが、読む人やタイミングを選ぶ要素も多い印象でした。

 若くして二代目組長を襲名した工は、10歳の頃に突然家族と引き離されて組に連れてこられ、勝瀬に世話をされながら有無を言わせずヤクザとしての人生を歩まされていました。そして襲名した直後に細工がしてあったと思われる車で事故に遭い、記憶が小学生まで退行してしまいます。

 組長としては使い物にならなくなってしまった工ですが、どうしても工を組長に据えておきたい上の人間の意向で、勝瀬がフォローしながら工の実情は隠し続けることに。

 中身が小学生の工の記憶は彼がまだ組に連れてこられる前のものなので、長年面倒を見てきた勝瀬ですら知らない面を多く見せてきます。組に来てからは冷めた印象だった工の、勝瀬の見たことのなかった無邪気で明るい一面が出てくるとはっとさせられます。体だけが大人の子供組長が基本はコミカルに描かれている分、ここぞというところで切なさが押し寄せてきました。

 たとえお飾りでも組長としての役割を果たさせようとする周囲の思惑のため、ずっと隠れているわけにもいかない工。人柄まで変わってしまったかのような工に、やがて黒田をはじめとする敵対派閥の人間にも隠し通せなくなります。

 どんな状況になっても組長としての工のために尽くす勝瀬がなんだかすごい人でした。帯に「主で家族で恋人だった」とあるとおり、事故前の工とはとても深い関係だった勝瀬ですが、勝瀬にとっての工はどこまでも徳江組組長の工。私の勝手な憶測に過ぎませんが、ヤクザになりたくなかった工が愛する勝瀬の望むような組長としてやっていくには、記憶をなくしてしまうくらいのことをしないと実現できなかったのではないかな、と思ってしまいました。

 肌色シーンでは、中身は子供のはずの工が時折見せる表情が勝瀬を翻弄します。記憶が後退したとはいえ、工は工であると思えるシーンなので私は好きな場面です。

 先生があとがきでいくつか映画を紹介されていて、これを見たことのある人ならまた違った印象を受けるのかもしれません。最後は本当に映画のような幕引きで、「プリンス・ノワール」というタイトルがじんわり沁みてきました。


<オススメ要素>

・中身が子供の組長がホンモノになるまで。


 地雷注意:NTR(黒田×勝瀬)。


<関連作品>

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