兄さんの友達 成瀬かの(著)/三池ろむこ(イラスト) 【小説感想】

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<登場人物>

 (攻)藤山啓一郎(ふじやま けいいちろう)…のぞむの兄の友達。料理上手のイケメン。

 (受)梅木のぞむ(うめき のぞむ)…高校生。見た目は根暗オタク。


 梅木一眞(うめき かずま)…のぞむの兄。しっかり者。

 甲斐政隆(かい まさたか)…のぞむの兄の友達。老け専。眼鏡。

 大熊(おおくま)…のぞむの兄の友達。大人の男が好み。


<あらすじ>

 母親突然連れてきた義父とうまくいかず、一人暮らしの兄の家に押しかけたのぞむ。そこで兄の高校時代からの親友達に再会します。
 そのうちのひとり、色男の藤山に気に入られたのぞむ。取引のように提示された条件をのみ、のぞむは藤山と付き合うことになります。しかし、次第に藤山の異常なまでの世話好きが明らかになり……。


<感想>

 もともとは成瀬かの先生が原作をされた、三池ろむこ先生のコミックス『兄さんの友達』がこちらの少し前に発売されています。小説はコミックスのお話の文庫化で、そこに3つの番外編が書き下ろされていました。私は先にコミックスの方を読んでいたので、たくさんいる登場人物たちも混乱なく、さらに気になっていたあの人たちのその後も読めて大満足です。

 本編の流れは漫画とほぼ同じで、のぞむの一人称で進むために心情がとてもわかりやすいです。加えて藤山さんの世話好きさもより詳細まで書かれていて、狂気を感じる、といわれる様がとても伝わります。

 本編ももちろん楽しく読み終え、その後に収録されていた番外編が新しいお話だったのでドキドキしながら読みました。そしていきなり『君の気持ちにこたえるつもりはなかった』との不穏なタイトル。こちらは本編でカフェのマスターに片想いしていた甲斐さんのお話です。

 甲斐さんとマスターの出会いは、甲斐さんが高校生の頃だったというのに驚きました。苦労の多い人生を送ってきたであろうマスターに相談に乗ってもらったことがきっかけだったものの、ここで発覚する甲斐さんの悩み事にさらに驚愕しました。のぞむの視点では詳しくは語られていなかった過去の梅木家の事情。のぞむのお兄さんの苦労を想像すると涙が出そうです。

 とりあえず甲斐さんが幸せになってくれたのがとても嬉しいです。けれどこのふたり、『兄さんたちはやっぱりおかしい』でも話題になっていますがいろいろ謎というか、ちょっとどうなっているのか教えてほしいことが残っています。いや余計なお世話なのは十分わかっています、でも気になるんです。

 それから、私はのぞむ兄に良い相手を見つけて幸せになってほしいです。もう少し一眞が年をとったら、大熊さんのストライクゾーンに入ると思うのです。すでに熟年夫婦ようなおふたり、ここは一度友達以上になってみてはいかがでしょうか……。

 最後の『五人目の不在』は、タイトル通りまさかの「五人目」視点でした。いわゆる普通の幸せを手に入れた彼。ちょっと切なくなりながらも、全員の幸せを祈りたくなるような素敵な幕引きでした。


<オススメ要素>

・コミックス版の補完に。
・番外編多数、甲斐さんのお話が読めます。


<関連作品>

・電子書籍(お試し読みができます。)

Renta!/
BookLive!/
ひかりTVブック/
コミックシーモア/
eBookJapan/
BOOK☆WALKER


・コミックス (感想記事はこちらです





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