ゆっくり走ろう 榎田尤利(著)/やまかみ梨由(イラスト) 【小説感想】

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<登場人物>

 (攻)立浪寛一(たつなみ かんいち)…関東圏トップの成績を誇る営業マン。郊外の販売店に勤務。33歳。

 (受)里見廣之(さとみ ひろゆき)…自動車メーカー勤め。営業指導のために出向。26歳。


<あらすじ>

 国産自動車メーカーに3年前から勤務し、販売計画推進室で優秀な分析を行った里見は、営業指導のため藤井沢営業所に出向することに。
 しかし里見の営業改善策は保守的な営業所の人々に反発を買ってしまい、2週間以内に車を1台売ってこい、と無理難題を押し付けられてしまいます。


<感想>

 藤井沢商店街シリーズ1作目です。シリーズものではありますが、舞台がすべて藤井沢商店街というところだけが共通していて、メインとなる登場人物やイラストレーターの先生は作品ごとに異なっています。お話は1冊できれいに完結します。

 郊外の営業所に出向してきた里見は、本社での成績が優秀とはいえまだ26歳、藤井沢営業所では若造扱いされて相手にしてもらえず、根が真面目なのもあって空回りしてしまいます。そのあたりはいかにもな現場の人々と出向者の隔たりを感じます。

 そんな里見の味方をしてくれるのが、関東圏でトップの営業成績を誇る立浪。営業所の人である立浪は、さすがの人柄と大人の包容力で里見を引っ張っていってくれます。気取らない上に自然体な立浪、かっこいいです。

 生真面目な性格からは想像できないかわいい秘密を抱えていたりする里見ですが、日々仕事でかかわる車については悲しい過去も経験していました。途中その傷を抉るような事故もあり、まさかそんな……とヒヤヒヤさせられました。ここは立浪がいてくれて本当によかったです。タイトルにもなっている「ゆっくり走ろう」がじんわり胸に沁みました。

 雑誌に掲載されていた表題作に続き、後半は書き下ろしで『これは大人の恋だから』が収録されていました。ふたりは恋人になったものの、里見は本社に戻ってしまったので仕事が忙しくてあまり会えないようです。

 そこに登場するのがこれまたキャラの濃い羽賀チーフ(眼鏡)。前半はスーツが暑そうな季節だったの対し、里見は羽賀と寒冷地走行試験のために冬の北海道へ出張することに。さらに立浪にお見合いの話まで出てきて大変です。

 派手な事件は起こらないものの、立派にお仕事をしながら恋愛にも向き合う大人たちのお話、読んでよかったです。発売からかなり年数が経っているのに今でもよく思い出す、大好きな作品です。


<オススメ要素>

・年上トップ営業×生真面目出向。


<関連作品>

・電子書籍(お試し読みができます。)

Renta!/
BookLive!/
ひかりTVブック/
コミックシーモア/
eBookJapan/
BOOK☆WALKER


・シリーズ








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