　卒業後は組を継ぐ予定の高校生たちの、喧嘩に明け暮れる最後の青春……からの結末が予想外すぎてかなりびっくりしました。

　まだ高３なのにすでにがっつりスミの入っている桃と、どう見てもチンピラの虎。この時点でけっこうファンタジーな印象でしたが、彼らが選んだのはなんとも現代的でリアル寄りの道。互いを想う気持ちが二人をそちらに導いたように見えるので、すごくいいBL読ませていただけたなと感慨深いです。

　そもそも桃と虎が一緒にいるのは、それぞれのお父様方の関係があってのもの。この二組の対比がとても良くて。お父さんたちはおそらく本物の「兄貴と舎弟」で、息子たち（特に虎）も最初はそうなるように言われて育ってきたけれど、こちらはきっと幼馴染や恋人としての情の方が強いんだとわかります。どちらもぎゅうぎゅうに萌が詰まっていました。

　さらにはこの見た目の虎が受というのが最高です。こちらの虎さん、出会いから将来までめちゃくちゃ一途。自分が犬呼ばわりされても笑っていられるのに、桃の組がバカにされたとあっては手が付けられないほどにキレる番犬ぶり。桃のためなら遠回りしてアイスを買ってきてくれるし、外でキスもしてくれる。これを一切の照れなく堂々と当たり前にこなしてくれるところに惚れます。

　そういえばカバー下イラストを眺めていてようやく気が付いたのですが、キャラクターの皆様の名前って桃太郎一行からきてたんですね。キジ枠が木島くんなのは笑いました。