牙を剥く男 火崎勇(著)/汞りょう(イラスト) 【小説感想】
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<登場人物>
(攻)海老沢哲志(えびさわ てつし)…花屋の社長兼双竜会組長。
(受)北峰信(きたみね しん)…高級クラブのボーイ。21歳。
<あらすじ>
母親が経営する高級クラブでボーイをしている信は、自称花屋の社長をしている海老沢に見初められ紳士的に口説かれています。
信の働く店はヤクザの息がかかっており、抗争に巻き込まれた信が怪我をしたとき、その場に居合わせた海老沢の様子が激変します。
<感想>
花屋で見かけた信のことを気に入っていたらしい海老沢は、信が財布を忘れて困っているところに颯爽と現れ助けてくれます。それ以来海老沢は信の働く店に通い、紳士的かつ情熱的に信を口説きます。
海老沢が放つオーラはどう見てもカタギのものではないのですが、「花屋の社長」という肩書きは本物のようでした。そしてはじめは強気につっぱねていた信も、大人の男・海老沢といい雰囲気に。
しかし、信の母親が店を経営できているのは、ヤクザのパトロン・太田のおかげ。太田が病に倒れたとき、信の店は抗争に巻き込まれることになります。そこで信が襲われかけたところに海老沢が居合わせたことで、海老沢の様子が豹変、正体が発覚します。紳士が怖い人に切り替わる瞬間っていいですね、何度読んでもゾクゾクします。
そこからの展開は私にとってはちょっと意外な方向に進んでいきました。海老沢は太田とは別の組の組長だったのですが、海老沢の正体を知った信は、海老沢に店を守ってもらえないかとお願いしに行くのです。
これが「取引」となってしまい、なんでもするとまで言ってしまった信は極道・海老沢に手酷く抱かれることに……。これまで優しく穏やかに信に接していた紳士の姿はどこにもなく、拘束や玩具で責められた信はボロボロにされてしまいました。
ですが本当に信に惚れていたらしい海老沢はきちんと約束を守ってくれていました。最終的には信の方から海老沢のもとに戻り、そこからははじめの手酷さとは打って変わって甘かったです。
信はヤクザの太田が父親変わりということもあり、自分は染まらないけれど綺麗事では済まされない事からも目を背けません。いざというときは自分が母親を守ると気丈に振る舞う姿は、まだまだ若いとはいえ水商売の男らしい覚悟が決まっていて新鮮でした。
<オススメ要素>
・笑顔の下は極道×極道に見初められた若者。
<関連作品>
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