<登場人物>
(攻)田辺恂二(たなべ じゅんじ)…大滝組のインテリヤクザ。岩下周平の舎弟。詐欺師。眼鏡。
(受)三宅大輔(みやけ だいすけ)…県警の組対。バツイチ。30代前半、田辺より1つ年上。
<あらすじ>
情報提供者の枠を超え、すっかり情の芽生えた関係を続けている大輔と田辺。優しい田辺に癒されるようになっていた大輔でしたが、ふたりの関係を知っている様子の刑事・天野に証拠を示され脅されます。田辺を守りたい大輔は天野の要求に応じる決心をしたものの……。
<感想>
「刑事に×××」シリーズ文庫版の3冊目です。書き下ろし中編『刑事とヤクザと湯けむり旅情』、電子書籍に加筆修正した表題作『刑事にキケンな横恋慕』、書き下ろし短編『アブノーマル・ポリシー』が収録されています。
2巻で大輔の離婚が成立し、晴れて(?)田辺と向き合えるようになった大輔が想像以上にデレるようになっていて感激です。まず本編の前に収録されている中編で、ふたりが温泉旅行に……!大輔から誘われて田辺が動かないわけがないですよね、年下の田辺の溺愛が加速するほど優しくなっていくというのがたまらないです。
最初の頃だったり、他のキャラに対してはあんなに酷いことをしてきたのに、と思うと、スマートなふりをして実は大輔にだけは振り回されている田辺が愛おしくなります。インテリヤクザが恋人のためならば陰で体も張っていて、そこに迷いがなく、当然のこととして受け入れる姿勢がブレないところはシリーズ通して特にお気に入りです。
本編では、今度は大輔本人が危機に陥っていました。事件を通して、大輔側の警察にも魑魅魍魎が渦巻いているのが少し見えてきます。大輔は助かったと言っていいと思いますが、田辺の緊迫感が半端なく、読んでいてとてもハラハラしました。周平って、本編シリーズ以外で見るとどうしてこんなに怖いのか……。
そして大輔が田辺に助け出された後の絡みがすっごくよかったです。3巻の全部が全部最高に素敵だったんですが、傷ついた大輔と、大輔のプライドを守ってやりたい、でも傷を暴いて舐めてやりたい思いに揺れる田辺、両方が懸命に相手のことを考えているのが伝わってきて何度でも見返したくなります。しかも大輔が一番恐れていたのは田辺とのことだったというのが、もうなんか、田辺の心境を考えると泣きそうになります。
本を開くたびに読み耽ってしまい、言葉にできない感想が山ほどあります。互いの呼び方も本当に良い。ふたりの行く末は前途多難かとは思いますが、帯のセリフまで引き出してきた田辺が大輔を離すことはなさそうかな、と感じられました。こんなにも詐欺師を信じたくなる日がこようとは驚きです。
<オススメ要素>
・インテリヤクザ×マル暴刑事。
・「刑事に×××」シリーズ3作目。
<関連作品>
・シリーズ
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