恋する救命救急医　～今宵、あなたと隠れ家で～　春原いずみ（著）/緒田涼歌（イラスト）　【小説感想】

春原いずみ

2017.12.102024.06.24

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恋する救命救急医　〜今宵、あなたと隠れ家で〜

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春原いずみ/緒田涼歌講談社 2016年10月05日頃

＜登場人物＞

（攻）藤枝脩一（ふじえだ　しゅういち）…カフェ「le cocon（ル・ココン）」のマスター。

（受）宮津晶（みやつ　あきら）…救命救急センターに勤めて２年。医師としては４年目。

篠川（ささがわ）…救命救急センター長。晶の憧れるすごい上司。

トム…le coconのウェイター。毒舌美少年。

＜あらすじ＞

　日本のＥＲとも呼ばれる救命救急センターで医師として働く晶は、あまりの激務に倒れてしまいます。晶を見かねた上司の篠川は、「le cocon」というカフェ＆バーを紹介します。
　センターから徒歩で行ける場所にあるle cocon。そこでは美形で謎の多いマスター・藤枝と、美少年なのにきつい物言いのトムの二人が晶を迎えてくれます。
　人を癒す「繭」だというle cocon。藤枝に気に入られた晶は、藤枝の作ってくれるおいしい食事のためカフェに通い始めます。

＜感想＞

　日々人の生死に立ち会い、疲弊したヒーローと、彼らを癒す隠れ家的カフェという大変おしゃれで素敵な設定でとても楽しめました。

　春原いずみ先生は医療職でいらっしゃるのですね。そのおかげで救命救急センターでの様子がとてもわかりやすく、かといって重過ぎないちょうどよい具合で表現されています。医療系のお仕事モノとしても大変興味深く、わくわくしながらページを捲っていました。

　晶の職場では緊迫した空気になることが多く、その仕事の大変さが十分に伝わります。その分、藤枝さんとのシーンはいつも甘いです。まさに癒し。藤枝さんは始めはあまり多くを語らないので、晶のことを本当はどう思っているのかわからなかったのですが、大人の藤枝さんにはきちんと理由がありました。そういうことなら、毎日がんばっている晶のことも人一倍かわいく思えるよね、と。

　出版社さんのあらすじに「隠れ家」と「繭」というキーワードを見つけ、雪山で遭難してどうにかたどり着いた山小屋であんなことやこんなことが……などと勝手な妄想のもとで手に取った本でしたが（ごめんなさい）、まったくそんなことはありませんでした。今となってはどうしてそんな風に考えてしまったのかさっぱりわかりません。邪な考えを抱いてしまったことを懺悔したくなるような、心温まるお話でした。