『狂い鳴くのは僕の番』(表題作)
<登場人物>
(攻)高羽慧介(たかば けいすけ)…α。転職したての新人。25歳。
(受)烏丸雅(からすま みやび)…Ω。課長。31歳。
鵜藤慎吾(うとう しんご)…β。烏丸の部下(元は先輩だった)。33歳。
飛永渉(とびなが わたる)…α。烏丸と鵜藤の元上司。ヘッドハンティングされて別の会社に大出世。
<あらすじ>
家庭の事情でΩ嫌いの高羽(α)は、平穏な生活を求めてブラック企業から大手広告代理店に転職。ところが転職先の上司はΩの烏丸だった。Ωであることを武器に出世してきたという烏丸を始めは嫌悪する高羽。しかし会社の人間や元上司からの嫌がらせにもめげずに、自分の身体を使い堂々と渡り歩く烏丸の姿に気持ちが揺らぎます。
<感想>
アメイロで配信していたころからずっと気になっていた作品。単行本として手に取れたときはすごく嬉しかったです。
オメガバース作品なので、αは崇められ、Ωはそれだけで蔑まれている社会です。ですが烏丸さんは、αを翻弄するΩの身体を武器に、αを手玉に取りエリートとして君臨しています。
普通ならαである高羽も本能に逆らえずに烏丸の手に落ちるはずだったのに、そこは彼の悲しい家庭の事情からそう簡単にはいきません。
それ故、ふたりは身体からの関係ではなく、お互いのことを知ってから結ばれます。オメガバースだと、まずは本能に逆らえなくて身体からの関係が始まり、そこに心がついてくるという展開が多い印象ですが、烏丸と高羽は心が通じ合ってから一緒になったのが新鮮でした。「身体の関係」一歩手前くらいのことはしてるんですけどね。
それから、当て馬(?)のようなポジションで登場した鵜藤(β)がものすごく気になりました。部下になっても烏丸の面倒を見続けてくれた彼はとってもいい人なんじゃないかな……。裏表紙で電話をする姿がかっこよくて惚れます。
『たまらないでしょ?』(短編)
<登場人物>
(攻)蒼井イツキ(あおい いつき)…芸大1年生。二浪したので二十歳。
紺野(こんの)…院生。
(受)白綾司(つくも りょうじ)…藝術大学助教授。
<あらすじ>
白教授の絵に惚れ込んだ蒼井は、二浪の末、白のいる芸大に合格。めでたく希望のゼミに入るも白には罵倒されてばかり。しかしある日、白が院生の紺野とただならぬ関係であると知ってしまい……。
<感想>
こちらはオメガバースではなく、芸術大学が舞台です。序盤は、蒼井以外は誰にどれくらい気持ちが向いているのかわかりにくいですが、3人それぞれ相手のいないところでは素直な気持ちでいて、一応恋心(のようなもの?)があることがわかります。案外バランスのとれた3Pなのかもしれません。紺野の作品を見つめる白先生の横顔が綺麗で切ないです。
<関連作品>
・続編
(感想記事はこちらです)
(感想記事はこちらです)
(感想記事はこちらです)
・CD
ドラマCD 狂い鳴くのは僕の番/CD/FACA-0222
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