妖精ハンター×DT～女体化!?妄想ワンコの暴走～　中原一也（著）/國沢智（イラスト）　【小説感想】

＜登場人物＞

　（攻）犬山大貴（いぬやま　だいき）…喜晴の部下で恋人。ド変態。２６歳。

　（受）阿久津喜晴（あくつ　よしはる）…サラリーマン。健康診断の数値が気になる、自称おっさん、３７歳。元ヤン。


　阿久津斗真（あくつ　とうま）…喜晴の従兄弟。四十二歳。妖精ハンター。

　青海（おうみ）…斗真の幼馴染で、パトロン（？）。四十代後半。

　阿久津洋平（あくつ　ようへい）…喜晴の兄。四十歳を超えて妖精になり、弟に呪いをかけたことがある。


＜あらすじ＞

　童貞のまま４０歳を超えると妖精になり、魔法が使えるようになる家系に生まれたサラリーマンの阿久津。阿久津自身は童貞ではないものの、過去に妖精になった兄に呪いをかけられたことがきっかけで、「妖精ハンター」としての力を得ます。阿久津は部下で恋人の犬山とともに夜に悪徳妖精を追う生活をしていますが、今回ふたりが追うことになった妖精は男を女体化させる魔法を使うらしく……。


＜感想＞

　『妖精ハンター×ＤＴ～４０歳童貞男の逆襲～』の続編です。前作に引き続き妖精ハンターとしてサラリーマンの阿久津が大活躍します。

　阿久津は変わらず自身をオッサン扱いですが男前は変わらず。会社の女の子達からも頼りにされています。そして犬山は……、パワーアップしてる気がします。阿久津への愛があの独特の言葉になってダダ漏れ、さらには自分が言ったことに煽られ勃起し鼻血を出す始末。このお話だけで彼は何回流血したんでしょうか。

　そんな今作も終始楽しい雰囲気です。この１冊だけでもきっと楽しいと思いますが、前作を読んでいた方が設定のわかりやすさだったり、斗真・青海・洋平のイラストが出てきたときの感動だったりは大きくなると思います。

　恋人になった阿久津と犬山が今回追うことになったのは、男を女体化させる能力を持つ妖精。私にとってはおそらく初めての女体化もの。誰がどんな風に……とおっかなびっくりでしたが、全体の楽しい雰囲気と予想と違う展開に驚かされとてもおもしろく読めました。この方向なら女体化もアリだな、と新しい萌を教えていただきました。犬山の事細かな実況解説のおかげです。

　そして表紙の阿久津が手にしている通り、彼の妖精ハンターとしての武器が変わります。緊迫したバトルシーンにおいても、このメルヘンなステッキをメルヘンに振って戦う阿久津（37）と、そんな彼を真剣に命がけで守ろうとする犬山。状況が緊迫すればするほど笑いを堪えきれなくなり、何度か涙で文字が見えなくなりました。

　さらに前作では濁されていた犬山の秘密も明らかになります。斗真と青海（ふたりともすごーくかっこいいのです）も挿絵に登場してがっつり活躍してくるんですが、こちらはやはりミステリアスなまま。奇跡的な（外見の）変貌を遂げた洋平まで出てくるという盛りだくさん具合です。

　盛り盛りなのに読んでいて混乱はなく、犬山と恋人であることに迷いのあった阿久津の気持ちもしっかり固まります。まだまだ広がりの可能性を感じさせるシリーズ、私は斗真と青海のことがとても気になっています。


＜オススメ要素＞

・予想の斜め上をいく女体化。
・犬山一族の秘密。


＜関連作品＞

・電子書籍（お試し読みができます。）

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・前作　（感想記事はこちらです）


・ＳＳ、漫画収録　（感想記事はこちらです）