あやかし喫茶で待ち合わせ /海野サチ 【漫画感想】
記事内に広告が含まれています。
『雪女 前・中・後編』
<登場人物>
(攻)戸賀沢(とがさわ)…雑誌記者。兎丸に助けられたことがある。
(受)兎丸(とまる)…男の雪女。人間とのハーフ。小さな喫茶店で働いている。
<あらすじ>
3年前に山奥で遭難した戸賀沢。そのときに助けてくれた男の雪女・兎丸を追いかけ、とある海沿いの町にやってきます。執拗に追いかけてくる戸賀沢に対し冷たくあしらう兎丸でしたが、その夜、戸賀沢のいる民宿が火事になってしまいます。
<感想>
戸賀沢が遭難したところを助けてくれた雪女♂の兎丸。それ以来戸賀沢は兎丸がどんなに居場所を変えようとも執拗に追ってきます。ナチュラルにストーカーです。
戸賀沢としては、周囲から距離を置いていつもひとりでいる兎丸が人間と一緒に暮らせるようになってほしい、との考えからの行動だったようです。しかし、複雑な生い立ちの兎丸にそれは難しい様子。
けれど兎丸が雪女の能力を使って火事から戸賀沢と人間の子供を救ったことで、最初は怖がっていた町の人たちとも打ち解けることができます。一見がめつい印象の喫茶店の店長がものすごくいい人でした。
最後に、勘違いから戸賀沢に身体を許す決意をした兎丸がとてもかわいかったです。それに乗じて本番に臨もうとする戸賀沢は、思ったより強かなのかもしれません。
そしてふたりとも脱いだらすごかった……!そういえば兎丸って山岳救助をしていたんだったとそんなところで思い出しました。
『垢嘗め』
<登場人物>
(攻)アカナメ…妖怪。汚れを食べないと栄養不足で衰える。
(受)織(おり)…配管工。汚部屋に住んでいる。
<あらすじ>
汚部屋に住んでいる配管工の織は、部屋に女の子を呼ぶためハウスクリーニングを依頼します。しかしクリーニングにやってきたのは今にも倒れそうなヨボヨボのおじいさん。不安に思いながらも掃除を任せ、仕事から帰宅した織は、風呂場で妖怪に遭遇します。
<感想>
汚部屋を綺麗にしなければならなくなった織は、雪女♂さんのいるカフェに置いてあったチラシを見てハウスクリーニングを頼みます。そこへやってきたのが、妖怪のアカナメ。
最初はアヤシすぎるおじいさんの姿だったものの、織の部屋の垢や汚れを食べて元気になったアカナメは、それはもう美青年になっています。
アカナメにとっては、異様に新陳代謝の良い織自身もとても美味しそうに見えるみたいです。垢嘗めの妖怪らしく長い舌を駆使して織を善がらせるシーンは苦手な方もいらっしゃるかもしれません。美青年のアカナメとこれまたイイ体をしている織の絡みに、「べろべろ」だったり「ベロロン」という擬音が飛ぶのがすごくエロいのに笑いを誘います。
描き下ろしの『愛が副産物』というタイトルにも噴き出してしまいました。「お前俺の体だけが目的なんだろ?」と言う織の至極真面目な顔のすぐ下にそのタイトルがあるんです。このコマを見るだけで笑いが止まりません。
『烏天狗 前・後編』
<登場人物>
(攻)相本双葉(あいもと ふたば)…喫茶「雪うさぎ」の新人バイト。烏天狗の弟子。
(受)黒一(くろいち)…片羽の烏天狗。
<あらすじ>
片羽の烏天狗への生贄として黒一へ捧げられた双葉。村へ帰りたくなかった双葉は、黒一に頼み込んで弟子として黒一の世話をし、もう片方の羽を探しています。
<感想>
ニート天狗の黒一があっさりした性格のため深刻な雰囲気にはなりませんが、双葉の生い立ちがとてもかわいそうでした。師匠と一緒にいたいがために戻った故郷であの仕打ちは……。唯一母親と思われる人がかばってくれたのが救いでした。
そんな健気な双葉が必死に黒一に迫るのは見ていてドキドキしました。描き下ろしで双葉が少し成長していたので、その先が非常に楽しみになってしまいました。
『座敷童子』
<登場人物>
(攻)華三郎(はなさぶろう)…通称ハナ。ドジな座敷わらし。
(受)天丸(てんまる)…非常勤講師。妹の空子と二人暮らし。
<あらすじ>
両親を亡くし、妹の空子とふたりで暮らしていた天丸。家に住みついている座敷わらしのハナにはとてもなつかれ幸福をもたらそうとしてくれますが、ドジなハナは力も弱く、兄妹は地味に不幸になっています。
そしてある日突然、ハナが自分は3日後に死んでしまうと告げてきます。死ぬ前に頼みごとを聞いて欲しいというハナ。それは、天丸と空子のどちらかに、自分の恋人になってほしいということでした。
<感想>
ハナはほぼ2頭身のデフォルメキャラなので、てっきり女の子だと思っていた天丸。空子はまだ中学生なので、ここは大人の自分が、と言ってハナの恋人役を買って出ます。
小さい姿のハナに完全に油断していた天丸。いざというときに美少年になってみせたハナが本当に綺麗でした。ハナは宣言通り途中で消えてしまうんですが、最後はハッピーエンドだったのでほっとしました。
『赤鬼 前・後編』
<登場人物>
(攻)百田(ももた)…料理人を目指して修行していた。
(受)真朱(ましゅ)…赤鬼。人間に優しい。
<あらすじ>
料理人を目指して世界中で修行したものの、料理家に破門されてしまうほどのものを創作してしまう百田。絶望のあまり死のうとして入った山中で、赤鬼の真朱と出会います。
そこで百田の作った料理を食べた真朱は百田を絶賛し、料理人になってもっと美味いものを食べさせて欲しいと言います。真朱の言葉に励まされ、きっと自分の店を持つと約束して山を下りた百田でしたが……。
<感想>
料理人になりたかった百田ですが、その創作料理は常にモザイクがかかるレベル。ですが赤鬼の真朱は大絶賛、もう一度夢を追いかける決心をした百田でしたが、美味しいといってくれたのは結局真朱と祖父だけという悲しい結果に。
その後再会した真朱に、料理人にならないなら、といって百田は食われそうになってしまいます。けれど優しい真朱は百田のウデは傷つけずに帰っていきます。
人間を食べなかったために弱った真朱が他の妖怪に襲われてしまいますが、そこは百田がきてくれて助かります。真朱があっけらかんとした本当にいいコなので、百田には真朱を幸せにしてあげてほしいです。
最後に、紙本カバー下は座敷童子が1コマ、雪女が3コマ、烏天狗が8コマでした。黒一は最初から双葉を気に入っていたようなのがわかって嬉しいです。
<オススメ要素>
・モノノケと人、5組の短編集。
・皆さんガタイがいいです(特に受)。
※紙本の帯に全プレ情報がありました。
<Fig発連続刊行キャンペーン>
『オール描き下ろし小冊子』
対象作品の帯にある応募券2枚を封入ハガキに貼って応募。東京漫画社さんのHPに詳細があります。
応募締切 2018年5月31日(木)
<関連作品>
・電子書籍(お試し読みができます。)
Renta!/
BookLive!/
ひかりTVブック/
コミックシーモア/
eBookJapan/
BOOK☆WALKER
コメント