ガチイキ挑発ナイト /イクヤス 【漫画感想】

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 イクヤス先生のピアス短編集です。全部で5組のお話が読めます。描き下ろしは『ガチイキ挑発ナイト』と『切望PUNCH』、カバー下は『無自覚甘えんボーイ』1Pと、先生によるガチイキ~誕生秘話が収録されています。



『ガチイキ挑発ナイト』(表題作)

<登場人物>

 (攻)里村(さとむら)…企画開発部。松井のことが苦手。

 (受)松井(まつい)…営業部のエース。


<あらすじ>

 会社の企画開発部で働く里村は、なにかと自分の劣等感を刺激してくる同期の松井が苦手。同期の4人で宅飲みのはずが、トラブルで2人いなくなってしまい、里村は松井とふたりっきりにされてしまいます。


<感想>

 表紙のどこから見ても男前の松井が受です。攻の里村は裏表紙にいます。イクヤス先生のお話は受の方がガタイがいい人が多いので、受攻表記を間違ってはいないかと何度も見直してしまいます(本当に間違っていたらすみません)。

 周囲の男性陣にさえ「松井にだったら抱かれても良い!」と言わせてしまうほどの松井。里村は陸上部で鍛えた自分の体を売りにしてきただけに、さらに体格も顔もいい同期の松井に劣等感を募らせています。

 それが酒の勢いで「相手を先にイかせた方が勝ち」という嬉しいトンデモ展開に突入。そしてここでも松井の男前が発動です。どこまでも煽ってくる松井に里村も止まりません。

 里村は松井を抱いたことで劣等感はなくなったのに、敗北感は残るというおもしろい結果に。ですがこの後に続くお話で、実は松井の方にも里村に対して思うところがあったことが発覚します。里村の意外な一面も見えていて驚きました。

 描き下ろし「ガチイキ爆発ナイト」は里村視点のため、やっぱり松井の方が一枚上手に見えました。



『課長のアメムチ情事』

<登場人物>

 (攻)高橋友成(たかはし ともなり)…コネ入社のボンボン。

 (受)笹本(ささもと)…課長。


<あらすじ>

 ボンボンの高橋は、とりあえずコネで入社した会社で真面目に働かず課長に怒られてばかり。しかしある日、高橋は自分のせいで課長が部長にお仕置きされているのを目撃してしまいます。


<感想>

 エッチはお仕置きではなくご褒美のはず!という素敵な考えのもと、部長にお仕置きされていた課長にご褒美を教えるため一念発起した高橋。

 なかなかにぶっ飛んだ思考をお持ちのボンボンですが、そんな高橋にホテルに連れ込まれた課長もかなりの天然っぽい感じでした。お似合いで微笑ましいふたりでした。



『切望PUNCH』

<登場人物>

 (攻)ショウ…タツミのトレーナー。年下。

 (受)タツミ…ボクサー。


<あらすじ>

 タツミは最近自分のトレーナーになったショウに見られていると興奮して勃起してしまいます。それに気づいたショウは、選手を管理するという仕事を建前に、自分が見ている前で抜くようタツミに指示します。


<感想>

 あいつに見られて興奮するのはあいつが俺をことを好きだからに違いない……と頑なにプライドを保ち続けているタツミ。ショウの前で抜くようになってからも、ショウは見ているだけで一向にタツミに触れようとしないので、タツミもだんだん不安になってきます。

 タツミよりも年下のショウの方が実は強いというのがなんか萌えました。けれど年上の矜持を捨てずショウの前では堂々としているタツミが最後はかっこよかったです。



『バカは穴どるなかれ!!』

<登場人物>

 (攻)亮治(りょうじ)…大学生。レンタルビデオ屋のバイト。

 (受)翔太(しょうた)…大学生。童貞。


<あらすじ>

 亮治にオススメされたDVDの映画で、不可解なシーンがあった翔太。そのことを亮治に聞いてみると、大笑いされた上に今度教えてくれるから待っているよう言われますが……。


<感想>

 翔太がわからなかった場面というのが、運び屋やスパイなんかがいろいろ体内に隠すというアレです。それを実践で教えてあげようとする亮治、おバカさんな翔太はあれよあれよという間に数ヶ月に渡って開発され続けることに。

 ですが翔太は翔太で自分達のしていることの自覚はあったようで。周囲からはバカにされていますが、侮ってはいけない人でした。



『無防備 甘えんボーイ』

<登場人物>

 (攻)岡田勝(おかだ まさる)…父の会社を継ぐため実家に呼び戻された。

 (受)大輝(だいき)…勝の従兄弟。勝の家に住み込みで働いている。


<あらすじ>

 父親の会社を継ぐため気が進まないながらも実家に帰ってきた勝。そこには幼い頃に反抗的で苦手だった従兄弟の大輝が住み込みで働いていました。いつキレられるかと大輝の顔色をうかがっていた勝でしたが、大輝の雰囲気はだいぶ様変わりしていました。


<感想>

 ヤンキーだった頃の印象が強かったのに、勝が久しぶりに会ったらずいぶん甘えん坊になっていて、しかも距離感がおかしい大輝。一つ屋根の下でもしかして勝の父親のことが好きなのでは……?と誤解してしまうほど(たしかに勝の父親はかっこよかった)大輝の雰囲気は変わっていました。

 けれどかなり厳しい家庭で育った大輝は、勝への想いもあって更生したようで。大輝にはつらい過去もあったりするんですが、それを受け入れていた勝は大人でした。

 カバー下でも少し切ない感じがするものの、大輝が根はいい子というか暗くないのでなんかいい話に思えてきます。このお話が私は一番好きになりました。



<オススメ要素>

・ガッチリ体型男前受多めの短編集。



<関連作品>

・電子書籍(お試し読みができます。)

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・表題作の続編
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