悪役BL 【アンソロ感想】

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<収録内容>
(出版社HPより)

【Cover】 akabeko

【Comics】
akabeko
SHOOWA
雨宮かよう
多摩緒べべ
直江犀
うえちゃ
にこ山P蔵
斧田藤也
ヒロハルヨシ

【column】
ときしば
高比良りと
鰤尾みちる



<感想>

 悪役といってもコメディからサスペンス、ホラーまでいろいろあるものだなぁとどの作品を読んでも感心させられるばかりです。最後のコラムも先生方の好みと情熱がみっちり詰まっていて隅から隅まで見逃せませんでした。中でもときしば先生はとても5Pとは思えない濃さで、普通に1本のお話を読ませてもらったような気分です。

 以下、気になった作品の感想です。



『スーパーヒーロー鈴木 第一話「乳と悪」』 SHOOWA

 これはもうあれですね、一度読んでみてください!としかいえない種類のぶっ飛んだお話です。私の貧相な語彙力ではとても説明できない悪役BLでした。

悪の巣窟の偵察にきた中堅ヒーロー鈴木と、鈴木を案内することになった悪の新米・英気。ヒーローだと名乗って正面からやってくるおバカな鈴木もかなりものですが、能力者だという英気もなんだかすごい。自身の能力について真顔でAVみたいな解説をしてくれるBADなお方です。

 そんなふたりがなんだかんだで絡みにもつれ込むと、親切にもどこからか投げ込まれるソウクツローション。ショーが始まると言って仲間たちが見学に集合し、終われば拍手が起こる陽気で楽しい職場のようです。

オチまで抜かりなく笑わせてもらい、アンソロのトップバッターの短編なのに読み終わるころにはすっかり疲れ果てているほどの濃さでした。「第一話」とあるからには今後にも期待していいのでしょうか?



『邪喰』 斧田藤也

 バラバラ殺人事件の重要参考人でカニバリストの噂のある古谷と、容疑者を追っている警察官の赤城。しかし赤城は古谷の手に落ち、拘束されて「下処理」をされていく中で、古谷の本質が少しだけ見えてきます。

 このお話が群を抜いて怖かったです。古谷の衝動って常人からは理解できるはずはないのに、彼の言葉や行動、回想を見せられているうちになぜか筋が通っているように思えてきて、さらに恐ろしさが増します。ラストシーンで身の毛のよだつような思いを味わっても、震えながらもう一度最初から読み直してしまいました。あのコートは……ぁぁ……。

 冒頭で赤城の相棒さんも言ってましたが、古谷が精肉店勤務というのがまた不気味さに拍車をかけています。すべては普通の売り物のお肉かもしれないし、と無理な妄想で逃げ道を残しつつ、何度も読み返しています。



『茨の道連れ』 akabeko

 大学生の幼馴染同士の家飲み風景からはじまり、ゲイの受が初めてハッテン場に行ってみた、と打ち明けています。そこで出会ったらしいのが表紙イラストにいらっしゃる攻。この攻がどうやら訳アリで……と展開します。

「悪い男」だと知っても好きになるのを止められない受と、受を利用するだけだったはずなのにいつのまにか手放せなくなっていた攻。ふたりに待っているのは確実に茨の道だと思われますが、道連れならそれも幸せなのかもしれません。攻にとって受が「肌身離さず」置いておきたくなるほどの大事な存在になっていたのなら、受はしっかり愛されているといっていいのではないでしょうか。

 もうひとつ気になっているのが、冒頭から登場していた受の幼馴染。彼の言葉はただのお節介にも聞こえるものの、もしかして受への恋心(もしくは独占欲)があったのでは……?と妄想を始めたら止まらなくなってしまいました。その上でのこれまでの発言だったのであれば、受が攻に走る一因を作ってしまったのは幼馴染のようにも思えます。誰が一番の悪役か、考え始めると地獄のようで楽しいです。



<関連作品>

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