狗神様と初恋の花嫁 天野かづき(著)/陸裕千景子(イラスト) 【小説感想】
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<登場人物>
(攻)時雨(しぐれ)…狗神。人の姿のときは犬耳と尻尾がある。
(受)御崎咲哉(みさき さくや)…犬に異常に好かれる体質。12年前に事故で両親を亡くしている。
<あらすじ>
咲哉はトリマーとしてペットサロンで働いていたものの、犬に異常に好かれる体質が仕事に悪影響を及ぼしクビになってしまいます。
時間ができてしまった咲哉は両親が亡くなった山中に花を供えに行きますが、崖下で犬が鳴いているのを発見します。助けようといた咲哉は崖から転落、意識を失ってしまいます。
咲哉が目覚めると、そこは見知らぬ屋敷の蒲団の中。現れたのは犬耳・犬尻尾のついた、時雨と名乗る男でした。
<感想>
家族や仲の良い親戚はおらず、仕事もクビになってしまった咲哉。そんな彼が開始10ページで瀕死の状態になってしまうのは冷静に考えれば悲惨過ぎますが、不憫な受が幸せになるお話ではそれは必要不可欠なこと……だと信じています。
神気をつかったり犬と人の両方の姿をとれたりと、犬の神様である時雨やその眷属である小弥太達には不思議なことがいっぱいです。ですが人が暮らしている場所を行き来していたりするので異世界とは少し違う感じがします。同じ次元で暮らしてきたからこその時雨と咲哉のつながりもあったんですが、それはちょっと悲しいものでした。
これまで読んだことのあるものと違っておもしろかったのが、もともとは人間である咲哉にも、犬耳としっぽがはえてくること。咲哉の命を救うために時雨が神気を(大人な方法で)そそいだからみたいです。犬耳犬尻尾の咲哉が、大きな犬の姿になった時雨をブラッシングするシーンは挿絵効果も相まって本当にかわいらしく、和みました。
咲哉がもとから犬に好かれる体質、というのも一応の理由はあり、すぐに番になると決めた時雨にも反対の声はあったようですが、時雨に逆らう者のいない世界なのでそれほど大きな問題にはなりません。周囲はだいたいほのぼのしているので、後に明らかになる咲哉と時雨の間にある複雑なつながりも混乱せずに読めました。
戌年のはじめの狗神様BL、楽しかったです。
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