元勇者一行の会計士 梅したら(著)/yoshi彦(イラスト) 【小説感想】
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<登場人物>
(攻)ヒュドル・ピュートーン…勇者一行の剣士。大剣使い。21歳。
(受)エンケ・ロープス…勇者一行の保護者兼会計士。元教師。40歳。
<あらすじ>
勇者一行が魔王を討伐し、平和になった世界。勇者たちと親子ほどの年の差があり、保護者兼会計士として魔王討伐の旅に同行していたエンケは、旅の終わりと同時に剣士のヒュドルに監禁されます。自分にやたら執着してくるヒュドルとの年の差に怯んだエンケは、国を抜け出し一人で旅に出ますが……。
<感想>
あとがきまで合わせると460ページ!……本の分厚さに引けを取らない壮大な世界観をじっくり堪能できました。こういう本もエンケならきっとあっという間に読んで覚えてしまうのかな……などと思いを馳せながら、最後まで楽しく物語に浸れました。
本編が全体の約半分で、後半はキャラクターたちの過去や本編のその後などが詰まった番外編、最後に書き下ろしの短編が収録されています。本編と番外編はwebで発表済で、挿絵は本編のみとなっていました。
「伴侶をせっせと閉じ込める部族」ヒュドルと、自分はただ長く生きて知恵があるだけだと思っている自称おっさんのエンケ。この設定だけでごはんが食べられそうなくらい好みなのですが、エンケの逃亡劇にとどまらず、互いの価値観をすり合わせ歩み寄っていく姿がとても感動的でした。
しかも攻受両者の視点があるため、エンケの心境や、エンケに「エロ特化部族」とまで言わせたヒュドルの部族の考え方が丁寧に綴られている印象です。一見突拍子もなく誤解を生みがちなヒュドルの行動も、伴侶を大切にするための掟に基づいていたり先祖が関係していたりと、きちんと理由や事情があるのが少しずつ解き明かされていく過程は読み応えがありました。どんなに重い愛も、突き詰めるほどに結局体から篭絡しようとしているのがわかっていくのも笑えます。さすがエロ特化部族。
エンケの個性的な教え子たちとの掛け合いも楽しかったです。サブカプの2人もなかなかに強烈で、ものすごく気になっています。
書き下ろしのお話は幻想的で、読んでいるこちらまで罠に嵌められているような感覚を味わえました。こんな事態には慣れているとばかりに突破して見せるヒュドルとエンケでしたが、そんな中でもさらに絆を深めていくラストには思わず感嘆のため息がこぼれました。
<オススメ>
・伴侶は閉じ込めたい執着攻×元勇者一行の会計士。
<関連作品>
・電子書籍(お試し読みができます。)
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