イエスタデイをかぞえて 綾ちはる(著)/黒沢要(イラスト) 【小説感想】

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<登場人物>

 (攻)椿武彦(つばき たけひこ)…大学生。経済学部の王子様。21歳。

 (受)三島冬至(みしま とうじ)…大学生。文学部。変なところで真面目な性格。21歳。


<あらすじ>

 三島冬至は、突然目の前に現れた死神を名乗る二人組の男によって、自分が交通事故で死んでしまったことを知ります。
 三島の心残りは、恋人の椿を残してきてしまったこと。願いをひとつだけ叶えてくれるという死神に三島が願ったのは、自分が死ぬ1年前から人生をやり直し、椿と恋人にならないことでした。


<感想>

 2012年頃の第2回小説ショコラ新人賞受賞作、綾ちはる先生のデビュー作品です。前半が受賞作「イエスタデイをかぞえて」を加筆修正したもの、後半の「イエスタデイをひろって」が書き下ろしです。

 主人公の三島が亡くなってしまったところからのスタートなのですが、三島の前に現れた二人の死神がファンタジーなノリのため、そんなに悲壮感はありません。死神のひとりは品のいい紳士で、もうひとりは白髪にアロハシャツのファンキーなおじいさまたちです。

 初めて読んだ当時は、泣ける作品という情報だけを仕入れて本を開いたので、この始まり方ですっかり油断してしまいました。設定は切ないけど、そんなにシリアスではないのかな、と。

 ところが、死神に願いを聞き入れてもらい、三島が実際に1年前に戻ったところで早くも涙腺が崩壊してしまいました。三島の部屋に椿の痕跡がひとつもないことで現実を理解し、三島がひとりで静かに泣き始め……私も泣きました。

 そこからはもう三島が椿を遠ざけようとして上手くいかない度に泣けて泣けて。ヘタレだと思っていた椿でしたが、彼がついに三島を落とした場面からはとんでもない男前に見えました。

 物語の終わり方についてはハッピーエンドなんですが、その理屈について賛否あるのはわかる気がします。ただこんなにも相手のために一生懸命なふたりですから、愛の力で乗り越えてくれたことに私はとても喜べました。本当によかったです。これからもふたりの幸せを祈らずにはいられない、いいお話でした。

 後半の「イエスタデイをひろって」は、主に椿の回想を交えながらの、三島が死んでしまった後のお話でした。「イエスタデイをかぞえて」で、椿が見ていた怖い夢の話だと思われ、それが三島のいる方の現実に合流するまでが描かれています。なのでとても切なかったです。こちらもやはり涙が止まりませんでした。


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