花と純潔 /桂小町 【漫画感想】
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『花と純潔』(表題作)
<登場人物>
(攻)日向千歳(ひゅうが ちとせ)…高校生。希少な純潔の吸血鬼。セレブ。
(受)赤城弥生(あかぎ やよい)…高校生。人間。右ななめ前の席の千歳が気になっている。
<あらすじ>
人の血を飲む吸血鬼と人間が共存する世界で、希少な純潔吸血鬼である千歳と人間の弥生は同じクラスです。
右ななめ前の席に座る千歳のことが気になっていた弥生。ある日千歳にその想いを見透かされ、保健室で「食事」と称して抱かれ、血を吸われてしまいます。
<感想>
純潔の吸血鬼であることに高いプライドを持つ千歳と、彼に淡い恋心を抱いていた人間のクラスメイト・弥生のお話。千歳は吸血鬼としては燃費のいい方らしいので、血を飲むとはいっても少し吸うか一筋垂れるくらいです。おかげで吸血シーンは弥生の恍惚とする表情と相まって、どれも美しいものばかりでした。
千歳にとっては血を飲む際に相手を抱くと血の味が良くなるらしく、はじめのうちは弥生と「食事」をするときにいつも彼を抱いていました。ですがイイ子で血の味の良い弥生に頼まれ、セックスなしの「食事」もするようになります。
けれど千歳にとってそれはあくまでも食事。弥生の想いには応えてくれません。というのも、この世界には吸血鬼への差別も存在していて、幼い頃に心無い言葉をかけられた千歳は人間との恋愛に臆病になっていたようです。自分は人間とは違うと断言する千歳も心は普通の高校生っぽい一面があるとわかり、とてもかわいい人に見えてきました。
それから千歳がとてもかわいいカナリアを飼っているのですが、このコが千歳と弥生の考え方の違いを理解するのにとてもいい働きをしてくれました。弥生が付けた名前に対する千歳の突っ込みが的を得すぎていて笑ってしまいました。
肌色シーンはそれほど激しさは感じられませんが、とても官能的で美しかったです。最後の描き下ろしで弥生の言質をとった千歳がどういう行動に出たのか、とても気になります。
『ノラ猫閣下の美しい人』
<登場人物>
(攻)いけすかない男…「美しい人」の恋人。
(受)美しい人…白檀の香りがする。
閣下(かっか)…「美しい人」に拾われたノラ猫。
<あらすじ>
気高きノラ猫である「我輩」は、雨の日に白檀の香りのする男に拾われます。どこか悲しい香りを漂わせるその美しい人は、ノラ猫に「閣下」と名付け、あたたかい寝床を与えてくれます。
美しい人には一緒に暮らしている恋人がいますが、どうやらその恋人は実家で見合いをする予定があるようで……。
<感想>
受に拾われたノラ猫・閣下から見た恋人達の物語です。閣下という名前がぴったりな、語り口から佇まいまでとても高潔でプライドの高い猫さん。ちょっと似ていると言われた攻に対しても「嫌な男」「いけすかない男」呼ばわりです。
この閣下がやってきたお家には一組の恋人達が住んでいるのですが、攻が見合いを控えているらしく不穏な空気です。見合いは断れないと言った攻が家を出たあとで、受はひとりで泣いてしまいます。
それを見た閣下の想いが切なく、さらにモノローグ中に、一瞬だけ閣下が人の姿になります。それはもちろん読者にしか見えていないのですが、これがもう本当に美しくてかっこいいんです。いっそ閣下が人になって受を幸せにして!と私が心の中で叫んでおきました。
ノラとしての気高さを失わない閣下は一度受のもとを去ってしまうんですが、最後に男気を見せた攻によって再び呼び戻されます。ノラ猫から見た恋人達、という不思議な雰囲気でしたが、心に残るとても素敵なお話でした。
<オススメ要素>
・プライドの高い吸血鬼攻×健気受。(花と純潔)
・美しすぎるノラ猫閣下。(ノラ猫閣下の美しい人)
<関連作品>
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