あなたのベッドであたためて恋する救命救急医　春原いずみ（著）/緒田涼歌（イラスト）　【小説感想】

春原いずみ

2024.05.182024.06.24

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あなたのベッドであたためて　恋する救命救急医

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春原いずみ/緒田涼歌講談社 2017年04月28日頃

＜登場人物＞

（攻）藤枝脩一（ふじえだ　しゅういち）…カフェ＆バー「le cocon（ル・ココン）」のマスター。元医師。

（受）宮津晶（みやつ　あきら）…救命救急センターに勤めて２年。医師としては４年目。

篠川臣（ささがわ　おみ）…救命救急センター長。晶のすごい上司。

宝生務（ほうしょう　つとむ）…トム。le coconのウェイター。毒舌美少年。

＜あらすじ＞

　救命救急医の晶と、カフェ＆バーのマスター・藤枝は恋人同士。今日も藤枝の用意してくれた美味しい朝ごはんを食べて出勤した晶は、上司の篠川から研修医・堂上の指導を命じられます。年上でプライドの高い堂上と相性の悪さを感じる晶。晶は藤枝にも相談できず、次第に追い詰められていきます。

＜感想＞

　藤枝さんからお出しされる晶専用ご飯が全部おいしそうで、とにかくお腹が空くこちらのシリーズ。２作目は「受難編」と先生のあとがきにある通り、晶はかなり厳しい状況に追い込まれていました。些細なミスが文字通り命取りになる現場。仕事中の緊迫感や追い詰められていく晶から片時も目が離せず、ハラハラしながらあっという間に読み終えてしまいました。

　嵐のようなお方だった堂上先生ですが、どんなに困った人でも晶のことは藤枝さんという最強の恋人が癒してくれるし、と私はタカをくくっていたのです。それがまさか藤枝さんまで！？な展開が待っていようとは。事情があるだろうとはわかるものの、ここは晶がかわいそうでかわいそうで。職場以外でも自分の居場所が浸食されていくのって見ているだけでもつらい。賀来さんがいてくれて本当によかったです。彼のフォローはいつだって完璧でした。

　私個人は病院にはもっぱら患者としてお世話になるばかりですが、年下上司と年上後輩の距離の難しさや、学閥への疎外感など共感できるものがたくさんありました。同時に、自分はこんな態度をとっていなかったかな、とつい我が身を振り返ってしまいます。自分の人生の教訓としても、定期的に思い出したくなるお話でした。