仇椿ゆがみて歯車 /吹屋フロ 【漫画感想】
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<登場人物>
(攻)和田一馬(わだ かずま)…武雄の嫡男・曽我雄之進真希。正体を隠して間宮に弟子志願。
(受)間宮刀爾郎(まみや とじろう)…剣の名手。かつては暗殺を生業としていた。
曽我武雄蔵人(そがぶゆうくらんど)…タケオ。秋月藩の侍所番頭。一馬の父。
<あらすじ>
かつては暗殺を生業としていた間宮は、標的だった武雄に助けられ愛し愛される関係になったものの武雄を斬ってしまいます。
その後剣術名人として名を馳せた間宮のもとに、弟子入りを志願する一馬がやってきます。一馬の目的が父・武雄の仇討ちであることは間宮の知るところとなりますが、互いに惹かれあっていた一馬と間宮は……。
<感想>
一番初めに目を惹かれたのは、正直にいうと¥1048+税というお値段でした。よほどおもしろいに違いない……!と感じ、思わずポチリ。届いてみればコミックス2冊分はあろうかと思われる分厚さにびっくりです。これでこの値段なのはむしろお得といっていいのでは。
かつては暗殺を生業にしていたものの、今は藩の比護の下、道場で剣術を教える先生である間宮。そこへ弟子入り志願として訪れたのが一馬なんですが、一馬の本当の目的は父の仇討ちをすること。間宮の前では隠しているつもりの一馬、しかし仇討ちのことはわりと早い段階で間宮の知るところとなります。
互いに胸のうちを隠しながら共に暮らすふたりの姿は、一馬の天真爛漫な明るさのおかげで一見楽しそうにも見えます。でも間宮と武雄(一馬の父)の関係がそれはもう切なくて……。その事情を一馬はどこまで知っているのかずっと気になっていたら、最後の描き下ろしで明らかになっていました。ここまでくると純粋に楽しかったです。
ストーリーもバトルも大変見応えがあり、しかも分厚い本なのでとても疲れるんですが、休むことなく一息に読んでしまいました。間宮と一馬の間で胸に迫る描写も多く、BL的萌もしっかり詰め込まれていて大好きになりました。
そんな中でも一番心を打ちぬかれたのは、武雄の妾・おりうさんです。このラストでのおりうさんがもうなんといっていいのか……とにかくすごい。愛し方というのは時代や人によってそれぞれだとは思いますが、おりうさんは本当に武雄(とたぶん間宮も)を愛しているのが伝わってきて涙が出そうでした。
結末についても最後までハラハラしっぱなしでしたがハッピーエンドでよかったです。次は安心を胸にもう一度読み直そうと思います。
<オススメ要素>
・切ない時代劇BL。
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