恋する竜の島 /ちしゃの実 【漫画感想】

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『黒竜編』

<登場人物>

 (攻)竜崎(りゅうざき)…高校生。前世は伝説の黒竜。

 (受)靖臣(やすおみ)…ヤス。高校生。竜崎の舎弟。眼鏡。


<あらすじ>

 前世は島の守り神で伝説の竜だった竜崎。前世の恋人・千凪とずっと一緒にいるため千年かけて人間に生まれ変わります。
 現世で高校生として生活している竜崎は、千凪が近くにいるはずだと確信して探していますが、いまだに見つかりません。


<感想>

 千年の時を越えて生まれ変わった人同士の壮大な再会の物語でした。元は島の伝説の黒竜だった竜崎は、前世で契った人間・千凪とずっと一緒にいるために千年かけて人間になったというのです。

 人間の千凪は当然その間に何度も生まれ変わっていて、竜痕と呼ばれる鱗は受け継がれているようですが、現世で人間になった竜崎はなかなか千凪を見つけられず。そばにいる美人の女の子を手当たり次第に確認していく竜崎を慕っているのは、舎弟のヤスだけです。

 千凪の正体は読者にはすぐ見当がつくようになっているので、竜崎の勘違いが微笑ましく笑いを誘います。しかしさすがに痺れを切らした竜崎の描写は切ないものがありました……。

 ヤスはヤスで、彼が抱えていた不安は人として当然のもの。カバー下のモノローグもあわせて読むと切実さが増します。

 黒竜と千凪の前世での出来事は悲しかったものの、千凪の正体に気づく前から高校生のふたりが一緒にいるときはとても楽しそうです。描き下ろしでも垣間見られる現世での日常が幸せな様子で、何度も読み返したくなる、大好きなお話になりました。



『白竜編』(表題作)

<登場人物>

 (攻)白夜(びゃくや)…伝説の白竜。リゾートの持ち主で社長。

 (受)樋川虹野(ひかわ にじの)…貧乏。腹に白い鱗がある人間。


<あらすじ>

 高校を卒業し、妹の治療費のため毎日バイトばかりの虹野。ある日突然現れた社長・白夜にさらわれ、そのまま濡れ場展開へ。虹野は妹の治療費を出してもらうことを条件にその後も白夜に飼われ続け、5年が経っていました。


<感想>

『黒竜編』にちらりと登場し、あっという間にお迎えが来ていた虹野のお話でした。虹野には過去の記憶が少しあるようで、前世の前世の話をしていたのもあながち嘘ではなかったのかもしれません。

 しかし虹野の記憶は断片的で、白夜もすべては語らないために虹野にとって自分達はお互いを利用しているだけという認識。周囲からの誤解もあり、5年の間身体の関係はありつつも気持ちは擦れ違ったままのようです。

 そして虹野が死にかけたところで明かされる真相。これがまた切なかった……。しかし互いの想いが伝わり、幸せを実感する虹野はそれまでを取り返すように甘いです。明るい未来も予感させてくれる描き下ろしもあり、1400年に渡る恋が報われて本当によかったねと、ふたりを労わりたい気持ちになりました。

 こちらの『白竜編』を読んでからもう一度『黒竜編』に目を通してみると、また新たな感慨を味わえました。2編は待つ側が人と竜で異なっていて、対比しながら読むと感じ方が変わってきておもしろかったです。



<オススメ要素>

・伝説の竜×人間、千年に渡る恋。



<関連作品>

・電子書籍(お試し読みができます。)

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