隣の狗人の秘密 成瀬かの(著)/サマミヤアカザ(イラスト) 【小説感想】

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<登場人物>

 (攻)ジャック・ガーフィールド…狗人。会社員。紅介の隣の部屋に住んでいる。黒縁眼鏡。

 (受)榊枝紅介(さかきえ こうすけ)…不動産会社の営業。色素が薄くプロポーションも良い。


 一宮(いちのみや)…紅介の友人。家は神社。歳は20代半ば、見た目は中学生。


<あらすじ>

 突如現れては消える謎の巨大生物・冥闇の獣。紅介の住む國・ヒノモトにとっては海外のできごとでしかありませんでしたが、その日初めてヒノモトに冥闇の獣が出現します。獣が暴れ唐突に消えた後に紅介が自宅マンションに帰ると、隣に住んでいる狗人のジャックが具合が悪そうに座り込んでいました。


<感想>

 どこからともなく突然現れ、暴れて街を破壊した後は急に消えていなくなる「冥闇の獣」が出現する世界。紅介の住む國ヒノモトは現代日本を思わせ、謎の巨大怪獣と戦う特撮映画のような雰囲気が感じられました。

 読む分にはストーリーはすっきりとわかりやすいと感じたものの、いざ感想を書く段階になって実はいろんな要素がぎゅっと詰まっていたことに気づかされました。何を軸にお話すれば魅力をお伝えできるのか……先生のあとがきでのお言葉を借りれば、「どかーん!、がしゃーん!、わー!、きゃー!」……という感じです。最初は展開が唐突な印象を受けるのですが、読み返してみるとすべては繋がっていて、冒頭から絶妙な伏線があったりして唸ってしまいました。

 紅介とジャックの恋模様も一筋縄ではいかないところがおもしろかったです。訳あってSMプレイ(Sのほう)が得意な紅介と、そんな紅介にたじろぎながらも尻尾を振ってしまう年下攻のジャック。どんなに袖にされても紅介に懐いて離れようとしないジャックが紅介の本質を見出したとき、うろたえる紅介の様子が楽しかったです。

 個性的でインパクトのある脇キャラも多く、中でも一宮は強烈でした。最初から紅介の中身をズバリ言い当てていた一宮。今回は登場とはならなかった「ガタイのいいおつきの人」との関係が気になって仕方ありません。


<オススメ要素>

・狗人×男気溢れる年上。
・謎の巨大生物。


<関連作品>

・電子書籍(お試し読みができます。)

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