金魚の産声 /ごんたくにど 【漫画感想】

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<登場人物>

 (攻)知久(ともひさ)…悠太の恋人兼保護者。

 (受)悠太(ゆうた)…過去の記憶がなく、言動が幼く拙い。知久と一緒に暮らしている。


<あらすじ>

 瀬戸内海に浮かぶ小さな島で、ふたりきりで暮らしている知久と悠太。悠太は見た目に反して言動が幼児のように拙く、知久が面倒を見ています。
 過去の記憶がない悠太のため、思い出すための方法を試している知久。しかし、知久は悠太が記憶を取り戻すことを願ってはいないようで……。


<感想>

 都会の喧騒からは遠く離れた小さな島で、親子のようにして暮らす知久と悠太。静かに進む物語は常にふたりにワケありげな雰囲気を漂わせていて、はじめは不気味さすら感じました。あどけない表情で金魚をくわえている悠太……この描写に感じる印象が、お話を最後まで読んだ後では全く違うものになっているとは、ただただ驚くばかりです。

 ネタバレのないほうがおもしろく読めるのは確実だとは思うのですが、ネタバレなしに感想を書くのも非常に難しくて苦悶しています。あのシーンやこのシーンはきっとこうだったのでは、と語りたくなる要素が詰まっているのに、ひとつとしてここでバラしてしまうのはもったいないとブレーキがかかります。なんかすみません……。

 キーとなる事柄を軸にブレずに展開していくストーリー構成が私は性癖なので、お話のオチを知った上で読み返したときの、キャラクターの言動のひとつひとつの意味がわかっていく喜びに震えています。知久との夢を叶えてくれたともいえる悠太の存在。幸福を追い求めた無邪気な愛なのか、壮絶に病んだ故の共依存なのか、どちらともとれる危うい表現にクラクラしました。

 描き下ろしでの、何かを超越したように幸せそうな様子が楽しくて、ふたりのこれからの日常をずっと見ていたくなりました。カバー下イラスト(1P)も素敵で、表紙と比べて眺め回してはニマニマしています。


<オススメ要素>

・恋人兼保護者×記憶喪失・幼児退行。


<関連作品>

・電子書籍(お試し読みができます。)

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