シアンとイエロー　/楢島さち　【漫画感想】

＜登場人物＞

　（攻）尚人（なおと）…依の幼馴染でセフレ。バイク屋勤務。２３歳。

　（攻）相内朋（あいうち　とも）…依の彼氏。大学生。１９歳。

　（受）依（より）…古着屋勤務。Ｍ。２３歳。


＜あらすじ＞

　過激なＳＭプレイでしか満足できない依は、初恋の朋に告白され恋人になったものの、朋公認で尚人とセフレ関係を続けています。純粋で優しい朋にだけは自分が乱れる姿を見られたくなかった依でしたが、依を気持ちよくしたいと考えた朋に一服盛られてしまいます。


＜感想＞

　アンソロで１話を読んだときはインモラルな関係性がテーマな印象だったので、この後なんだかんだで３人仲良くやっていくんだろうな、となんとなく思っていました。結果的にはそうなったのかもしれませんが、そこに至るまでの過程がここまで丁寧に掘り下げられているのには驚きました。メインとなるのは３Ｐアリの「三角関係」だったんですね。

　依、尚人、朋の３人は幼馴染で、でも依と尚人の方が付き合いが長く歳も一緒。受の依は子供の頃に朋に一目惚れ、けれど自分の性癖を自覚しそれが尚人にバレてからは尚人とセフレ関係を続けてきました。

　誰に感情移入するかで受け取り方はだいぶ変わってきそうな雰囲気で、３人が抱える想いはそれぞれ違ってはいても、みんな切ない。攻同士も幼馴染で、恋敵であってもお互いが大切な存在であることは揺るがない様子でした。

　特に尚人はそこに年上故の男前が加わり、心から依と朋の幸せを願っているのはわかりやすくかっこよかったです。意外だったのは、朋がそこをきちんと理解していたこと。依にきっちり自分を選んでもらうためとはいえ、尚人をフェードアウトさせなかったのは偉いと思いました。

　尚人があまりにもできた人なのでつい応援したくなってしまうのですが、依の恋心ははっきりと朋に向いていたようです。なので、やはり誰かが欠けてしまってはうまくいかないのかもしれません。そうなると尚人を繋いでくれた依の性癖に感謝です。

　どちらも選べないことで最終的に「インモラル」に帰結するのかな、とひとりで勝手に考えています。最初の掲載が『インモラルセックス』だったことを思うと、むしろこれが自然な幕引きのように感じられました。


＜オススメ要素＞

・インモラル三角関係。


＜関連作品＞

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