司法の男 水原とほる(著)/兼守美行(イラスト) 【小説感想】
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<登場人物>
(攻)大守季一郎(おおもり きいちろう)…陸上自衛隊陸准尉。36歳。
(受)美作礼一(みまさか れいいち)…検事。美人。31歳。
<あらすじ>
休暇を共に過ごし、まるで恋人同士のようにして暮らす礼一と大守。このまま穏やかに時が過ぎていくと感じていた礼一のもとへ、急遽本庁への異動辞令が下されます。距離ができることで大守との曖昧な関係を見つめ直した礼一でしたが、自分たちの仕事の関係上改めて確認するのに躊躇していました。
<感想>
『防人の男』の続編です。自衛官と検事という互いの職業上、いざというときは家族や恋人よりも国を守ることを優先するのが当たり前な人同士の恋愛が描かれています。今回はエリート検事の礼一の仕事に焦点が当たっていて、あまり身近とは言えない難しい事件に立ち向かっていく過程は読み応えがありました。
ほとんど恋人ように過ごしていても、このふたりがあえて関係を曖昧にしておくのはわかる気がします。特に大守さんについては、ゲイではないけれど自衛官故に結婚の選択肢がないお方。だからこそ礼一と上手くいったところもあるのだとは思いますが、そこからまた一歩関係を進めたい礼一が悩むのも納得です。しかも今回礼一が捜査する相手が防衛省とくれば、悠長に話し合っている場合ではありません。
そんなときに再会した礼一の元カレや、新しい上司が揃いもそろってスパダリばかり。礼一の心は彼らと大守さんを比べながらも一途に大守さんを思い続けていても、大守さんからしたら心中穏やかではなかったのでは。先生のあとがきでも少し触れられていましたが、屈強な年上の大守さんが礼一を想ってへこんでいる姿を想像するとなんともかわいらしくてとても萌えます。
ネタバレになってしまいますが、思い悩みながらも仕事を完遂し結論を出した礼一の「いつかくるかもしれない有事のために、愛する人を遠ざけているなんて馬鹿げている」の言葉はぐっときました。これはすごい。この前後の文章もとても良くて、心に染み渡りました。
仕事を第一に生きながらも、人を愛することに前向きな人たちの姿にたくさん元気をもらえた気がします。礼一と大守さんが少しでも長く一緒にいられるように、この国の平和を願わずにはいられません。
<オススメ要素>
・防人の男×司法の男。
<関連作品>
・電子書籍(お試し読みができます。)
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