夜夜の月 水原とほる(著)/町田九里(イラスト) 【小説感想】
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<登場人物>
(攻)澤雅宏(さわ まさひろ)…画商。業界でも有名な老舗画廊のオーナー。
(受)神原亮(かんばら りょう)…元美大生。画家志望。20歳。
<あらすじ>
家庭の経済的事情で美大を中退せざるをえなくなってしまった亮。画家になる夢を捨てきれずに路上で自分の絵を売る生活をしています。
そこに通りかかったのは、業界で有名な画商・澤。澤は亮自身が描きたいものを描いて画家として稼げるようになるまで面倒を見てくれるといいますが、その条件は澤にいつでも身体を差し出す「愛人」になることでした。
<感想>
もう10年以上前に出版された本ですが、今読み返しても不思議と古臭さを感じませんでした。この作品、もう本当に大好きなんです。水原先生の書く、気の短い年上攻とそれに翻弄されながらも芯は揺るがない受、という組み合わせがどうにも自分の性癖にハマります。
両親を事故で亡くし、祖父母に育ててもらいながら美大に通っていた亮でしたが、突然祖父が倒れ帰らぬ人となってしまったことで状況が一変します。経済的に困窮し、大学も辞めざるをえなくなってしまいましたが、絵への未練を捨てきれずに路上で自分の絵を売っています。
そこへ通りかかった澤に声をかけられ、亮の状況は再び変わります。有名な老舗画廊のオーナーである澤は、亮がいつでも身体を差し出す「愛人」になるならば、画家になるまで面倒を見てくれるというのです。
そのときさらにお金が必要になっていた亮は、澤の条件をのみます。そして亮は、「少々荒っぽいのが好き」なために男を抱く澤に泣かされる日々が始まります。水原先生の作品によく出てくる攻の例に漏れず澤は亮に手を上げるわけですが、ここでなんと「ちょっと気分をリラックスさせる合法的な」薬が登場します。
なんとなくですが、(水原先生作品の)こういう攻は痛がる受は痛がらせたまま最後まで遂行してしまうイメージがあったので、ちょっと意外でした。ですが薬のおかげでそれほど痛々しい感じにはならず、身体だけが先に従順になってしまう亮に萌が滾ります。
話の本筋と関係ないところで語ってしまいましたが、亮と澤の関係性についてもとてもおもしろくて大好きです。絵を愛する亮に対して、澤はその生い立ちから絵に復讐するために画商になったというのです。出版社あらすじにある、「絵を愛せない画商と、絵しか愛せない画家」という表現が素敵です。
そんなふたりがパズルのピースのようにぴったりとくっつく瞬間がもうたまりません。亮の方から澤に迫るんです。なんという萌。澤が一瞬ヘタレに見えました。
それからタイミングはそれぞれ違いますが、相手のことを名前呼びに切りかえたシーンもとても気に入っています。名前で呼び呼ばせるって、独占欲が見えるようで大好きです。
私の個人的な萌を詰め込んでいただいたかのような作品、出会えてよかったです。
<オススメ要素>
・絵を愛せない画商×絵しか愛せない画家。
地雷注意:攻が受に手を挙げるシーンがあります。
<関連作品>
・電子書籍(お試し読みができます。)
Renta!/
BookLive!/
ひかりTVブック/
コミックシーモア/
eBookJapan/
BOOK☆WALKER
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