恋の調べはランチに乗せて 髙月まつり(著)/八百(イラスト) 【小説感想】

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<登場人物>

 (攻)鷹原聡司(たかはら そうじ)…鷹原グループの御曹司。スカウトの鬼。25歳。

 (受)十条学(じゅうじょう まなぶ)…「十条屋」の主。凛々しい系の長男。ブラコン。30歳。


 十条仁(じゅうじょう ひとし)…学の弟。おっとり癒し系の次男。25歳。

 十条真(じゅうじょう まこと)…学の弟。深窓の美少年系の三男。18歳。


<あらすじ>

 外食業界ではかなり有名な弁当屋の「十条屋」。主の学のもとには連日多くのスカウトマンが訪れていますが、欲のない学はすべて頑なに断っています。
 そんな十条屋にやってきたスカウトマンのひとり、鷹原グループ御曹司の聡司は、スカウトの鬼と呼ばれるほどの実力の持ち主。しかし、学を一目見て恋に落ちた聡司は、学のハートを射止めるため、連日十条屋に通い始めます。


<感想>

 疲れたときほど漫画よりも小説が読みたくなる人間です。ですがそんな時に重い話は避けたいし、ミステリーやファンタジーは設定を理解するほどの体力もない。さらりと楽しいお話が読みたい……というわがままを叶えていただけるのが、髙月まつり先生の作品であると遅ればせながら気がつきました。

 収録内容は、『恋の調べはランチに乗せて』と『ラブソングは弁当箱に押し込めて』の2つの中編です。文章やノリがとても独特ではありますが、瀕死の私が求めていたものはまさにこれでしたので、とても楽しかったです。

 普段は「スカウトの鬼」とまで呼ばれるほどやり手の聡司。これまで有名処は避けていたという彼ですが、周囲があまりにも語るから、という理由で十条屋を訪れます。そこで出会った学に一目惚れ。いつもの冷静な仕事ぶりはどこへやら、壊滅的に怪しい言動「恋する男のパッションアクション」で真正面から学に迫ります。

 一方の学は、はじめこそ電波系の聡司に引いていたものの、弟とかわいいものが大好きな性格のため、年下の聡司のことがだんだん可愛く見えてきます。おかしな電波男から兄を守ろうとして上手くいかない学の弟達が、陰で悶えているのがおもしろかったです。

 「凛々しい系」の三十路男・学がかわいいものが大好き、というのもまた楽しい要素のひとつでした。表紙で学が抱えていると思われるウサギのぬいぐるみ「ムッヒーちゃん」も、聡司が学をおびき出すのにいい働きをしてくれています。「ムッヒーちゃん」て、なんだかもう字面がおもしろすぎて文章に出てくるだけで笑ってしまいました。

 八百先生のイラストもとってもよかったです。個性的なキャラクター全員魅力的なんですが、中でも表紙のムッヒーちゃんの顔に心を射抜かれてしまいました。私もぬいぐるみを集めたいです。

 おもしろおかしいポイントを挙げていったらきりがないくらい楽しいお話でした。元気がほしくなったとき、またお世話になろうと思います。


<オススメ要素>

・年下電波攻×逞しくて面倒見のいい受。
・お兄ちゃん大好きな弟達の苦悩。





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