イアン執事の個人的復讐と理想 /案丸広 【漫画感想】
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表題シリーズで3話、加えて短編が3つ収録されています。カバー下では4コマが四本、表題のメイン以外のキャラでそれぞれ1話ずつと盛りだくさんでした。
『ハミルトン卿の初恋』(表題作)
<登場人物>
(攻)イアン…アーネストの元世話役。貴族だったが現在は農夫として暮らしている。
(受)アーネスト・ハミルトン…ハミルトン卿。次期公爵。
(攻)アーロン・アークライト…救いの主A・A。学園を10年留年中。
(受)ネイハム・ニューマン…学園の4年生。仮装が趣味。
<あらすじ>
次期公爵のアーネストは、12歳から自分の世話役として共に過ごしたイアンに恋をしていました。しかし、卒業式の前日にアーネストを押し倒してきたイアンが恐くなってしまい、勢いで世話役をクビにしてしまいます。
現在は爵位を捨て農夫として働いているイアン。無邪気なアーネストは毎日のようにイアンのいる馬小屋を訪れています。
<感想>
「ハミルトン卿の初恋」「アーロン王子の卒業」「イアン執事のこじれた初恋(描き下ろし)」の3話構成で、2組のカップルが登場します。出版社あらすじに「一筋縄ではいかない」とあるとおり、どのお話も意外なタイミングで意表を突かれました。
アーネストが初恋だったイアンを拒絶して以来、イアンは貴族だったにも拘わらず爵位を捨て、農夫として暮らしています。そこへ無邪気にも遊びにやってくるアーネスト。「馬みたいに種つけしてやろうか?」というイアンの脅しにもめげずに馬小屋へ通い続けています。
農夫と次期公爵では障害が多そうに見えたふたりですが、アーネストは意図せず家を離れることになり、それにめでたくイアンも付いてきてくれます。おかげでアーネストはイアンと結ばれるわけなんですが、周囲の策略にはめられたアーネストがちょっとかわいそうでした。タイトルの「復讐」の意味が予想と違い、いろいろ考えさせられました。
結局思惑通りになったのは一体誰だったのか、読めば読むほどいろんなものが意味深に見えてきます。個人的には最後のアーネストの台詞が一番引っかかっています。
それから、中盤でもう一組、アーロンとネイハムが登場します。アーロンとイアンの関係も激しく気になるところですが、アーロン×ネイハムは攻受固定なんでしょうか??カバー下によればこの後も2人は楽しい人生を謳歌したらしいですが、私の頭の中ではリバ妄想が捗っています。
『総長たちの恋愛事情!』
<登場人物>
(攻)田渕(たぶち)…狂犬の田渕。床波学園八代目総長。ケンカ上等ヤンキー。
(受)佐賀美(さがみ)…凶悪の佐賀美。春岡学園八代目総長。インテリヤンキー。
<あらすじ>
昔から因縁のある不良グループの総長同士である田渕と佐賀美。ケンカは日常茶飯事、勝敗は互角、しかしふたりには誰にも言えない秘密があります。
<感想>
待ってました総長対決。ケンカ上等ヤンキー総長の田渕とインテリヤンキー総長の佐賀美(学校では眼鏡)ですが、このふたり周囲には内緒ですでに気持ちが通じています。
ケンカの後はふたりで仲良く盛って抜き合っているのがたまりません。しかし「佐賀美よ 俺そろそろ最後までしてぇんだけど」「この俺がここまで奥手なんてよ…テメェのこと相当本気なんだな…」という言葉を交わす田渕と佐賀美、本番はまだなのです。
そして挑むのはタチの座を巡るタイマン勝負。勝敗はてっきり逆かと思っていたんですが、これはこれで大アリでした。ドSが一番感じるのが優しくされることって、なんだか新鮮でした。
『キラキラッ』
<登場人物>
(攻)桑原(くわはら)…新人社員。元アメフト部。
(受)米島(よねじま)…営業のエース。
<あらすじ>
支社で利益倍増を成し遂げ本社へと戻ってきた営業のエース・米島。凱旋早々社長命令で押し付けられたのは、新人社員・桑原の指導係でした。
<感想>
何人もの営業の猛者達が匙を投げた新人・桑原の指導係を押し付けられた米島。元はアメフト選手になる予定だった桑原は身長190cm、相手を引かせるほどの声量、スマホは手で握りつぶしてしまうという脅威の新人社員です。
そんな桑島の面倒を真剣に見る米島。最後は先輩にすっかり惚れてしまった桑島が会社で米島を抱くんですが、これがなかなかに体育会系っぽい体位でした。ほぼお姫様抱っこのままで、って相当すごいと思います。
『園長先生、はじめての…!?』
<登場人物>
(攻)三好(みよし)…幼稚園の先生。爽やかな見た目で保護者から人気。
(攻)松井(まつい)…幼稚園の先生。見た目はヤンキー。
(受)榎木田晴彦(えのきだ はるひこ)…榎木田幼稚園園長。46歳。
<あらすじ>
昔から仕事一筋、恋愛にはあまり興味を持ってこなかった榎木田幼稚園園長・46歳。今は若い先生同士の恋を応援しようと思っていますが……。
<感想>
仕事一筋で生きてきた優しい榎木田園長先生。若い三好先生と松井先生の衝撃の現場をデバガメしてしまい、ふたりが両片想いだと思った榎木田はそれぞれに話を聞きにいきます。
ところが、じつは三好も松井も好きなのは榎木田だったという。3Pシーンでは榎木田を取り合うふたりが交互に相手をする感じなので、二輪挿しまではいきません。結ばれるのが嬉しくて涙してしまう三好が、実は一番したたかな雰囲気をかもしだしているのがなんか好きです。
最後にも描き下ろしが1Pありました。『第五回 攻会議』、議題は「優しさ」です。これ、受の皆さんにもぜひ見てほしい……そして感想を伺ってみたいです。
<オススメ要素>
・すべてが一筋縄ではいかない短編集。
<関連作品>
・電子書籍(お試し読みができます。)
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