山田BL 【アンソロジー感想】

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著者 山田ユギ/山田J太/山田シロ/山田酉子/山田2丁目/山田パピコ/山田パン/山田ぼたん/山田まりお/山田ユギ/山田ロック

エッセイ ヤマダサクラコ/山田マリエ



 『山田先生大集合!!』(帯より)のまさかのアンソロジーでした。収録作がいっぱいでどれも短いんですが、すべて読みきり(たぶん)だったので楽しめました。
 「山田」という名前そのものがテーマになっているのは山田J太先生の『となりも山田くん』と、山田酉子先生の『山田同盟』の2つでした。あとはちらっと小ネタ的に山田の名前が出てくるくらいです。
 以下、気になった作品の感想です。



『昼も夜も』 山田ユギ

<登場人物>

 白石優斗(しらいし ゆうと)…入社4年目、企画課の王子様。26歳。

 高瀬英司(たかせ えいじ)…堅物課長。白石の上司。


<あらすじ>

 高瀬は白石に長い間口説かれ続けていますが、互いにタチ同士ということで断るのが日課のようになっています。
 厳しすぎて周囲に誤解されがちな高瀬は、白石に慰められたことで馬鹿にされたと思い込み、二人の仲は険悪になってしまいます。


<感想>

 好みじゃないといいつつ高瀬の心が白石に向いているのはよくわかるのに、夜遊びが激しくなっていくのを見るのはハラハラしました。
 でもさすが課長。相手に踊らされているのは、片方だけじゃないんですよね。



『となりも山田くん』 山田J太

<登場人物>

 山田一郎(やまだ いちろう)…よくしゃべる方の山田。眼鏡。17歳。

 山田太郎(やまだ たろう)…無口な方の山田。眼鏡。17歳。


<あらすじ>

 地味キャラの山田ふたりは今日もファミレスでだらだらゲーム。でも一郎は本当はモテたいし青春を謳歌したい……。


<感想>

 まさに「山田BL」のイメージそのものでした。
 地味だし名前も似ているし、周りから見たら区別のつかなそうなふたりですが、本人達は毎日楽しく生きています。無口な方の山田くんがかわいいしとってもいい人だしでもう最高でした。



『おねがい、君の愛を食べたい』 山田パピコ

<登場人物>

 (攻)ユキジ…離婚してかっちゃんに会いにきた。

 (受)かっちゃん…幼稚園のころからユキジが好き。30歳。


<あらすじ>

 幼稚園の頃からずっとユキジのことが好きなかっちゃん。諦めようとしても結局好きなまま。ところが、離婚してかっちゃんに会いにきたというユキジが、酔っ払って隣で寝てしまい……。


<感想>

 ずーっと片思いしている相手が酔っ払って寝てしまい、その寝顔をオカズに……という展開なんですが、とても色っぽいのに切なかったです。

 一番続きが読みたいと思った作品でした。かっちゃんが報われる姿を見たいです。



『風紀委員長は忙しい』山田2丁目

<登場人物>

 熊川(くまかわ)…高校生。友達が多い。

 犬山(いぬやま)…高校生。風紀委員長。妄想癖あり。


<あらすじ>

 ひと気がない第二校舎に男女が向かったのを目撃した風紀委員の犬山。ふたりを取り締まろうと張り切る犬山を、熊川はなんとか止めようとしますが……。


<感想>

 まず冒頭の高校名で爆笑。そうだ、私は山田BLを読んでいるんだったと再確認いたしました。
 犬山くんが天然過ぎてこっちでも笑えました。5分悩んでしまうところがまたかわいい。ふたりの前途は多難そうですが、熊川くんがいれば大丈夫……なんじゃないかな。



『山田同盟』 山田酉子

<登場人物>

 鈴木(すずき)…警視庁公安部山田課。

 鈴木(すずき)…警視庁の鈴木を助けてくれた謎の青年。


<あらすじ>

 鈴木暦2017年。第一次名字戦争は終結しましたが、表舞台から追われた名字達は地下に潜り、レジスタンスの運動を加速させています。


<感想>

 登場人物紹介の欄を作ってしまったことをこんなに後悔したことはありません。みんな鈴木と佐藤なんです……。

 不思議な雰囲気のお話でした。謎の鈴木くんの正体は結局よくわからないままですが、再会できるといいなと思います。はっきりした表現はありませんでしたが、なんとなくハッピーエンドに繋がりそうな余韻が残りました。



 最後はふたりの作家さんのエッセイ漫画でした。山田マリエ先生4ページ、ヤマダサクラコ先生1ページで、どちらもびっしり描き込まれていて大変おもしろかったです。



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