獅子皇帝とオメガの寵花 かわい恋(著)/羽純ハナ(イラスト) 【小説感想】

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<登場人物>

 (攻)アヌマーン…アルファ。宗主国イビドラの皇帝。

 (受)マキナ…オメガ。ヤハナン王国の田舎村で育つ。気性が激しい。17歳。


<あらすじ>

 田舎の村で育ったマキナは、血は繋がらなくともやさしい家族との素朴な暮らしを愛していました。しかしある日突然村にやってきた国の使者により、マキナは王家の血を引く唯一のオメガであると知らされます。
 家族や村を人質にとられ、マキナは大国イビドラの皇帝との子を産む使命を課せられます。


<感想>

 田舎村で育ったオメガが、自分のいる王国の宗主国の後宮に入り子を成し、母国の後ろ盾をつくる使命を課せられる……この流れだけを見ると幸薄げな健気受を想像するのですが、マキナは田舎育ちで喧嘩っ早く、気性が激しいところが新鮮でした。

 実は王家の血を引くただ一人のオメガだったマキナは、国のために強制的にイビドラ皇帝の後宮へと送られます。突然家族とも離れ離れにされてしまったマキナ。普通は自分のこれからを悲観しそうなものですが、国を背負わされ実質家族も人質に取られたマキナは、嫌がりながらも王家の人間としての所作や閨房術を学び身につけます。本当は不安もたくさんあるのに、覚悟の決まっている姿は見ていて惚れ惚れしました。

 それに対してイビドラの皇帝・アヌマーンは、皇帝らしく威厳のあるお方。ライオンに変容できるアルファで、その姿は常に100%人間かライオンです。人にケモミミやしっぽがあったりはなく、そのおかげか王者感がすごいです。

 マキナは言葉遣いや仕草をきちんと身につけていたものの、アヌマーンには早々に本性を見破られ、仔ライオンをかわいがったこともあってお気に入りとなります。その後の絡みはオメガバースなだけあってとても濃厚でした。あんなに気の強かったマキナが、そんなときだけは肉食獣を前にしたウサギのようになってしまうとは……メイラン、グッジョブです。

 紆余曲折の末にふたりが本当に結ばれるとき、必要なこととしてアヌマーンがライオンの姿でマキナと子作りするシーンがあります。マキナも同意していますし、痛そうな感じはしませんが苦手な方は要注意かもしれません。

 ライオンに乗って砂漠を駆けたり、オアシスで泳いだり、海にまで足を伸ばしたりとアラブ系な光景が次々と出てくるのも楽しかったです。羽純ハナ先生の挿絵も仔ライオンがかわいらしくて釘付けになりました。最後にはメイランまでイラストに……!これは本当に嬉しかったです。


<オススメ要素>

・溺愛オメガバース。
・ライオンに変容できる皇帝×気性が激しいオメガ。


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