竜公爵と癒しの花嫁 かわい恋(著)/駒城ミチヲ(イラスト) 【小説感想】
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<登場人物>
(攻)ナージ・ロウ…エラゴール公国の大公爵。炎のような赤い髪と瞳をもつ。
(受)スウェン…治癒師。天才と名高い。20歳。
<あらすじ>
14歳のスウェンには、その美しさから「精霊さん」と呼び慕っていた青年がいました。しかし、その「精霊さん」はスウェンの目の前で魔道士に魂を取られ殺されてしまいます。
悲しみと悔しさからスウェンは勉強と修行に励み、6年後には立派な治癒師に成長します。そんなスウェンの名を聞きつけ、独裁国家といわれるエラゴールが神竜を治癒してほしいと依頼してきます。
神竜を救うためエラゴールへと急ぐスウェン。けれどエラゴールに到着したスウェンは大公爵ナージの手籠めにされ、騙された上に本当は花嫁として連れてこられたと知ります。
<感想>
治癒師とは、生きものの心に入り込んで治癒を行う職業だそうで、スウェンはこの治癒師を多く輩出してきた一族の生まれです。才能に恵まれたスウェンは実家から離れた学舎で勉強するため、それまで5年ほど「精霊さん」と呼んで慕ってきた青年に離れなければならないことを伝えます。
そこで互いの気持ちを伝え合い、スウェンの学舎での勉強が終わる6年後にもう一度キスをする約束をしたふたり。ですがこの直後、精霊さんはスウェンの目の前で突然やってきた魔道士に殺されてしまいます。
6年後、スウェンは心に傷を抱えながらも天才といわれるほどの治癒師に成長します。そしてエラゴール公国から神竜の治癒と称して招かれたものの、騙されて大公爵・ナージの花嫁にされてしまいます。
神竜を助けに遠い国から苦労してやってきたというのに、スウェンは初めて会ったナージに夜這いされます。大公爵の特殊な血を飲んだために痛い思いはしていないとはいえ、襲われながら精霊さんの形見に縋るスウェンはかわいそうです。読者としてはナージの正体は薄々わかるのでここは萌ポイントでもあるのですが、無理やりが苦手な方は注意した方がいいかもしれません。私は大好きです。
気持ちを無視した扱いに憤りつつも、脱走を試みて危険な目にあった所を助けてもらったり、臣下から大公爵の事情を聞いたスウェンは自ら歩み寄りを見せます。そして次第に明らかになっていくナージの心境。傲慢暴君と見せかけて、実はいろんなものをこじらせたちょっとかわいげのある人でした。
それからエラゴールでは神竜が国宝として崇められているのですが、この神竜がもう本当にかわいかったです。天蓋つきのベッドから登場する竜は初めて見ました。他人がスウェンに触っただけで火を噴いて妨害したり、金の光でスウェンの身体を物色してきたり。自分がどんなに危険な状態であってもスウェンを見つめ続ける姿が素敵です。人外キャラの一途な様子はどうにも愛しく思えます。先生が今回は見送られたという竜姦も、お目にかかれる日を楽しみにしております。
肌色シーンは前半と後半でガラッと雰囲気が変わります。前半はナージがスウェンを好きなのはわかるんですが、スウェンにとっては無理やりなのとスウェンは「精霊さん」に気持ちがあるので完全にナージの一方通行です。
後半に互いの想いが通じてからは、これまでを取り返すように甘いです。精神世界でのアレコレに至ってはもうすごい。心の中ですからね、何でもできちゃいます。
スウェンの気持ちを考えると大変だな……と思いますが、ナージの愛が不器用ながらも一切のブレがないので、執着攻が大好きな私にとってはお気に入りの一冊になりました。
<オススメ要素>
・いろいろこじらせている執着攻。
・ひどい目にあっても悲観しない強くて美しい受。
<関連作品>
・電子書籍
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