小松先生のデビュー作で、短編が4作品収録されています。
『それから、君を考える』(表題作)
<登場人物>
ヤス…高校生。卒業後は実家の豆腐屋を継ぐ。
タカシ…高校生。東京の大学を受験予定。
<あらすじ>
タカシは何もない地元の町から出たい一心で、東京の大学を受験しようと勉強しています。それを唯一応援してくれているのが親友のヤスですが、彼には秘めた想いがあるようで……。
<感想>
ここで終わっちゃうの!?この先が見たいです……と思いつつ、そこで終わるからこその「それから、君を考える」なんだろうなと納得できました。短編の良さを存分に味わえるお話だと思います。
『最後の命令』
<登場人物>
佐野…弁護士。
周防…昔、佐野をパシリにしていた。
<あらすじ>
同窓会に参加した佐野。弁護士になった佐野は勝ち組として同級生達に羨ましがられますが、思い出すのはその昔倒錯的な関係にあった周防のことで……。
<感想>
14ページととても短いお話で、主に佐野の回想です。学生時代(高校生くらいに見えます)に佐野のことをパシリのように扱いつつも、キスをさせたりと倒錯的な関係だった周防。
弁護士になったということは佐野にできることもたくさんあるはず。そんな彼が「最後の命令は叶えられない」と考えている以上は、二人の再会もありえる……のかもしれない、といろいろな想像を掻き立てられるラストでした。
『Young oh! oh!』
<登場人物>
荒井辰朗…見た目がヤンキーの高校生。
佐古啓二…美少女フィギュア好きを隠したいがために、八方美人イケメンに。
<あらすじ>
フィギュア好きを詰られて以来、趣味を隠すために八方美人になってしまった佐古。女の子からの告白をかわすために、偶然近くにいた荒井に頼んで彼氏になってもらいます。ところが、荒井は思いの外本気だったようで……。
<感想>
見た目はヤンキーだし悪い噂もある荒井でしたが、実際はとてもかわいい上に男前でした。佐古がわざとまずくした弁当を平らげる姿は涙ぐましいほどです。
佐古が本心ではないにしても荒井を傷つけてしまうシーンは本当にかわいそうでした。それでも優しい荒井……、男前です。
『夜明け前が一番暗い』
<登場人物>
(攻)大輔(だいすけ)…要のことがずっと好きだった。
(受)要(かなめ)…両親の離婚が決まり、家出。
<あらすじ>
ずっと良い子でいたにもかかわらず、家庭が崩壊してしまい家出してきた要。連絡を受けた大輔は要のもとへと急ぎ、少しでも救いたいと考えて一緒に過ごしますが……。
<感想>
子供の力だけではどうにもならないもどかしさがとても伝わります。要を救いたいと必死の大輔でしたが、気持ちを伝えられた大輔自身も救われたように感じました。
「短いお話」であることがどれも大変活かされている印象でした。青春がまぶしかったです。
<関連作品>
・電子書籍
【おまけ付きRenta!限定版】
・CD
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