犬、拾うオレ、噛まれる 野原滋(著)/香坂あきほ(イラスト) 【小説感想】
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<登場人物>
(攻)テツロー…便利屋。貴史から紺を止めるよう依頼を受けた。
(受)佐竹紺(さたけ こん)…会社員。貴史をストーカーしている。24歳。
伊勢谷貴史(いせや たかふみ)…予備校講師。紺の元恋人。
<あらすじ>
元恋人である貴史へと無言電話を繰り返し、録音しておいた自分との情事の声を聞かせるストーカー行為を繰り返している紺。痺れを切らした貴史は便利屋に依頼し、紺を止めようとします。
貴史の依頼を受けて紺のところにやってきたのは、テツローと名乗るどこか愛嬌があり、馬鹿っぽく見える男。テツローは紺を拘束し監禁を始めますが、ゆるい雰囲気の漂う監禁生活を送るうちに、紺の抱えてきたものが少しずつ明らかになっていきます。
<感想>
野原滋先生がデビュー前に書かれた投稿作(旧題『愛だ恋だという前に』)に加えて、書き下ろし「首輪は、どっちだ」の2つのお話が収録されています。
私にとっての好きな要素がいろいろ詰まり過ぎていて、いったいどこから感想を書いたらいいのか分かりません……。お気に入りの作品なのにとっちらかった感想しか思い浮かばないのが悲しいです。
基本は受の紺の視点で進みます。ですがこの紺が登場から元カレにストーカー行為を繰り返しているという危ない人で、その他にもひとりでたくさんの秘密を抱えています。そのストーカー被害を受けている紺の元恋人・貴史が、紺のストーカー行為をやめさせて欲しいと便利屋に依頼し、派遣されてきたのが攻のテツローです。
テツローもまたつかみどころのない男で、紺からすれば同じくらいか年下に見えるけれど、人を拘束したりする手際は明らかにプロのよう。ですがどこか馬鹿っぽい雰囲気があり、どうにも憎めない人です。
そんな謎だらけのふたりで監禁生活が始まります。けれど一緒に仲良くカレーを食べたりと、どうにもゆるい雰囲気です。テツローは貴史の依頼で紺にお仕置きをしたりもしますが、それすらも少し甘さが感じられるような。そんな中での、貴史のこと以外には何もかも投げやりな紺の、気持ちの変化や明らかになっていく真実に目が離せませんでした。
書き下ろしでは、テツローから見た紺のヤンデレぶりが堪能できてとてもよかったです。ここまでのことを相手に委ねてくる受はそんなにいない気がします。そしてそれを受け入れてくれるテツローもまたいい男です。ふたりの関係性に惚れました。
最後に、ほんのちょっとの登場だったのにものすごい存在感を放っていた修二が気になっています。彼の登場は本当にこれだけなのでしょうか?またどこかでお目にかかりたいです。
<オススメ要素>
・読む前と後で、印象がガラリと変わります。
<関連作品>
・電子書籍
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