いじわる狐とハートの猫又 野原滋(著)/山田シロ(イラスト) 【小説感想】

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<登場人物>

 (攻)尾房清綱(おふさ きよつな)…狐目の男。

 (受)つむぎ…猫又。はちわれ。尻尾が2つに割れているが、短い。


<あらすじ>

 かつて優しい夫婦に飼われていた猫のつむぎは、夫婦亡き後は猫又となり、共に暮らした思い出の家をひとりで守り続けてきました。
 人間によって町が広げられ、開発が進むにつれてつむぎの家も取り壊そうと調査員がやってきます。つむぎの家を訪れたのは、尾房と名乗る狐目の男。尾房はつむぎが懸命に追い出そうとするのも意に介さず、家に住み着いてしまいます。


<感想>

 狐の神使と猫又の長きに渡る大恋愛のお話でした。尾房とつむぎが結ばれるまでの年月を思うと途方もなく切ない気持ちになりますが、ふたりの睦み合いの描写がまるで本物の狐と猫がじゃれ合っているようで常に微笑ましく、楽しく読めました。

 物語冒頭からつむぎはすでに猫又で、けれど普通の猫又が持つはずの長い尻尾はなく、短いけれど二つに割れたかわいい尻尾を持っています。それが他の猫又とは異なるために仲間ができず、ずっと一人ぼっちだったつむぎ。そこへ突然やってきた尾房はすべてを知っているようでしたが、攻撃的なつむぎをのらりくらりとかわしはっきりとは告げてきません。

 もともと猫又だったつむぎと、神社に祀られ人を守る立場の狐の神使とでは感覚が違い、ふたりだけがわかりあったところで周囲の理解を得るのは難しい……過去のつむぎの行いを見せられるとよくわかりました。そんな状態からのハッピーエンドは、尾房の粘り勝ちでしょうか。健気な狐さんでした。

 この尾房が狐姿のときがもう本当にもふっとしていて、「モッフリ」を享受できる眷属さんたちやつむぎが羨ましくてたまりません。いいな……モッフリ……いいなぁ……。

 つむぎが人にとって無害になれたのはもちろん尾房のおかげもありますが、つむぎと一緒に暮らしていた夫婦の優しさも大きかったのではないでしょうか。今つむぎがみんなと仲良くなれている様子を見ていると、悲劇のようだった時間も無駄ではなかったのかな、と感じられます。

 何より現在の尾房の溺愛ぶりにニマニマしてしまいます。尾房はつむぎを待っていたことを当たり前のように語りますが、実はつむぎと結ばれて嬉しくて仕方ない様子が伝わってきて、こちらまで幸せな気持ちになりました。


<オススメ要素>

・モッフリ狐×半端者の猫又。


<関連作品>

・電子書籍(お試し読みができます。)

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