夜明け前まで~仁義なき嫁番外~ 高月紅葉(著)/小山田あみ(イラスト) 【小説感想】
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<登場人物>
(攻)美園浩二(みその こうじ)…石橋組若頭。
(受)伊藤真幸(いとう まさき)…花屋の雇われ店員。
伊藤…真幸の義父。
<あらすじ>
義父の伊藤によって身体を売らされてきた真幸は、ある日美園に買われ、それからフラワーアレンジメントの店を任されています。そこで拳銃密売の片棒を担ぎながら、気まぐれに訪れる美園に乱暴に抱かれて3年が経った頃。突然伊藤が花屋に現れ、真幸の実の父親からの手紙を渡してきます。
<感想>
不憫な受が幸せを手にする話は大好きですが、真幸は不運が身体に染み込んでしまった大人で、ある意味不幸であることに慣れすぎてしまっています。もしかしたら、同じく高月紅葉先生作品の『春売り花嫁とやさしい涙』のユウキや、『春売り花嫁といつかの魔法』に登場する楓果と共通するところがあるかもしれません(どちらも大好きなシリーズです)。
そのため伊藤にどんなに理不尽なことを強要されても、真幸は普通に受け入れてしまっているところがあり、前半は読んでいてかなり辛かったです。それでも、自ら過酷な道に転がっていってしまいそうな危うい真幸から目が離せず、美園さん早くなんとかしてあげて……!という想いでページを捲る手が止まらず。すんでのところで美園さんが現れたときには、読んでいるこっちの方が救われた感じです。当の真幸は、おそらく幸せが信じられなくて心が追いついていかないようなので……。
想いが通じたふたり(というかほぼ美園さん)がこれまた甘い甘い。激しく甘いというか甘く激しいというか……(変な言い方ですみません)。これがあるから紅葉先生の作品はやめられません。前半焦らしに焦らされ、上がった期待値をはるかに超えてくるハッピーエンド。こういうの大好きです。
~仁義なき嫁番外~とありますが、これだけで問題なく読めました。強いつながりは感じましたが、あの人たちがちらっと登場するくらいです。1ページのみですが、小山田あみ先生の挿絵で見られたのは得した気分になりました。
あと、表紙の真幸が手に持ってるのって、花だけじゃなかったんですね。お話を最後まで読んだ後で初めて気がつきました……。
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