春淫狩り ―パブリックスクールの獣―  高月紅葉(著)/笠井あゆみ(イラスト) 【小説感想】

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<登場人物>

 (攻)クリフォード・ロチェスター…クリフ。ロチェスター家の長男。生徒代表。ペデヴィア寮の寮代表。

 (受)ローレンス・シーゲンバーグ…シーゲンバーグ家の次男。副生徒代表。ユーウェイン寮の寮代表。


 ダニエル・リントン…ダニー。ローレンスの親友。アメリカ生まれのアメリカ育ち。

 ビリー・ダグラス…ローレンスと同級で、ユーウェイン寮の副寮代表。


<あらすじ>

 英国の伝統あるパブリック・スクールのひとつ、ウェルズリーコレッジの副生徒代表を務めるローレンスは、その凛々しさから「春の王」と呼ばれ生徒達に人気があります。
 しかし、ローレンスへ歪んだ気持ちを抱く同級生・ビリーの罠により、ローレンスは学内秘密組織で「キツネ狩り」のフォックス(標的)としてオークションにかけらます。
 ローレンスを競り落としたのは、幼馴染でローレンスが密かに恋心を募らせてきたロチェスター。長年確執のあったロチェスターの真意がわからないまま、ローレンスは人前で抱かれてしまいます。


<感想>

 「英国紳士養成所」とも呼ばれる伝統あるパブリックスクールが舞台です。出身や家柄によるクラスの違い、外とは隔絶された空間での青春、まるで翻訳のような言い回しによる会話の応酬など、好きな人はたまらなくハマれそうな要素が盛りだくさんな印象です。

 登場人物達の呼び方が相手との関係性や立場、場所によって変わってしまうので、最初のうちは誰が誰なのか混乱してしまい、読むのにだいぶ時間がかかってしまいました。欧米が舞台の小説ではこれも醍醐味といえるのかもしれませんし、おそらく最低限に抑えてあるのではと思いましたが、慣れるまでは大変でした。本自体も分厚く、300ページ超えです。

 内容は、生徒副代表であるローレンスが同級生のビリーに嵌められ、学内の秘密組織で処女を奪うオークションにかけられてしまいます。ショックを受けるものの、男らしく毅然とした態度で挑むローレンス。そんな彼を圧倒的な金額で競り落としたのが、生徒代表でローレンスの長年の想い人でもある、ロチェスターでした。

 ロチェスターとは、ローレンスが片想いをいろいろこじらせてしまっているせいでずっと確執があります。ロチェスターが自分を落札しても、気持ちが自分に向いているとは考えられないローレンス。そのこじらせ具合は半端なものではありませんでした。

 それでもなんとか気持ちを通わせたふたり。しかし、ローレンスを諦められないビリーが暴走し、学園の外をも巻き込む波乱に発展していきます。

 ローレンスについては、弁えているととるか甘ったれととるかで好き嫌いが分かれそうではありますが、追いつめられても女王様然とした気丈な態度には男らしさを感じます。そのローレンスに付き従う騎士のように見せかけて、当たり前に守ってみせるロチェスターはたぶんスーパー攻様です。けれど、庶民の私からすると一番凄いと思えたのはアメリカ男のダグラスでした。


<オススメ要素>

・パブリックスクール。
・片想いこじらせ受。


 地雷注意:人前での絡みシーンがあります。





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