＜登場人物＞
（攻）人魚…不老不死の妖怪。
（受）雪之助（きよのすけ）…キヨ。薬屋。死ねない。中年。
＜あらすじ＞
不老不死の人魚に嫁にされ、死ねない体になったキヨ。仲間をさがしに深海に潜った人魚と約６０年ぶりに再会します。変わらずキヨに一途で嫉妬深い人魚でしたが、実はキヨに明かせない秘密を抱えていました。
＜感想＞
読めば読むほど切なさが増していくお話でした。基本は元気で明るく、キヨに対して一途な愛情を見せる人魚が、ずっとどんな気持ちでいたのかを考えると本当に切ないです。
人魚のきまぐれ（？）ということで伴侶にされ、不死のまま生き続けることになってしまったキヨ。人間のキヨにとって、周囲の人を看取りながら永遠を生きるのは想像を絶するつらさがあったのだと思います。不死から脱する方法を探し続けるキヨ（それでも１年はやく待ち合わせに来てしまう）と、大好きなキヨをあえて１人にして６０年近くも離れていた人魚……その理由がわかったとき、人魚の愛の深さに震えました。
気の遠くなるような時を越えるお話ではありますが、キヨと妖怪たちの生きる一瞬一瞬は見ている分にはとても楽しいです。ありがたいことに人魚が触手持ちでいらっしゃるので、絡みでの活躍が見られて嬉しかったです。さらには、黒猫の千代が触手を「シュバババ」っとしているシーンなんかもあり、ここが一番のお気に入りとなりました。猫と触手って他にないですよね、かわいかったです。
彼らの夢みる未来、最後にはそれが泡となってはいかなかったところに勝手に希望を見出してしまいます。素敵な幕引きに、まるで今このときもどこかで彼らが暮らしているのではないかと思えてきました。
＜オススメ要素＞
・一途な人魚×不死になった人間。
＜関連作品＞
・電子書籍（お試し読みができます。）
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