見初められたはいいけれど 水原とほる(著)/ミドリノエバ(イラスト) 【小説感想】

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<登場人物>

 (攻)ジョッシュ・ブライス…アメリカの富豪の息子。日本とのハーフ。25歳。

 (受)桐島澄人(きりしま すみと)…優良企業の会社員。29歳。


<あらすじ>

 人並みに生きようと努力を重ね一流企業に就職した苦労人の澄人。上司から取引先の御曹司・ジョッシュのお目付け役に指名され、嫌な予感がしつつも引き受けます。
 澄人が金持ちのドラ息子だと思っていたジョッシュは、実際に会ってみると読めない態度。生意気かと思えば突然甘い雰囲気を醸し出し、年上の澄人を振り回します。


<感想>

 幼少期の不幸が原因で苦労を重ね、一流企業に就職したものの頑なな性格の印象の澄人。澄人の頭の中には常に「人生には不平等と不条理が溢れている」という言葉があって、何事においてもまず我慢から入る姿に同情してしまいます。

 この感覚って、誰にでも共感できるもののような気がします。どんな人の日常にも理不尽はあって、我慢してやり過ごすしかないときはある。なので澄人に感情移入して読むと、現実を思い出して苦しくなることも何度かありました。しかしだからこそ、澄人は自分とは遠い世界の人間だと思っていたジョッシュに、彼と似たものを抱えていることを見出せたのかもしれません。

 お話はずっと澄人(おそらくかなり現実的な考え方)の視点で進むので忘れそうになるのですが、周囲からの扱いを見るに澄人は本来とても優秀で魅力的な人なんだと思います。ジョッシュの目に映る澄人がどんななのかを想像すると、急に年下攻なことが意識できて楽しかったです。

 ただこのふたりには、物語が終わったあとにもまだ乗り越えなければならないことが残っているような。でもジョッシュのハイスペックさを見ているとなんだかんだで切り抜けてくれそうな気がするので、澄人と一緒に楽しく生きていってほしいと願うばかりです。


<オススメ要素>

・ハイスペック年下×お目付け役。


<関連作品>

・電子書籍(お試し読みができます。)

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