春うらら好色男の宿 /akabeko 【漫画感想】
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<登場人物>
(攻)藤男(ふじお)…元AV男優。旅館の跡取り。
(受)江東美春(えとう みはる)…会社員。要領が悪い。
<あらすじ>
会社でうまくやれず、居場所のない美春。帰り道にうっかり電車を乗り過ごしてしまい、
まるで異世界のような廃旅館にたどり着きます。そこで出会った藤男という旅館の跡取り息子に慰められ、美春は旅館で一夜を過ごします。しかし美春が目を覚ますと藤男はおらず、旅館の女将に「息子はとうに死んでる」と伝えられます。
<感想>
雑誌掲載時は「シリーズ読み切り」だったので、どうしても続きが読みたい一心で毎回せっせとアンケートハガキを書いていた思い出の作品です。Dear+の予告に先生のお名前を見つける度、とても嬉しい気持ちになっていました。
社会でうまく立ち回れないせいで、居場所がないと感じていた会社員の美春くん。仕事はできるのに、まわりに合わせられずに自分で自分の首を絞めているタイプに見えます。
そんな人生に日々絶望している状況でたどり着いたのは廃旅館、そこの跡取りらしい藤さんは明るく美春くんを慰めてくれます。元AV男優らしくマニアックなプレイで美春くんのあらゆる童貞(美春くんは受です)を奪ってくれた藤さんでしたが、彼はただちゃらんぽらんなわけではなく、なかなかに恐ろしい闇を抱えていらっしゃいました。
前半は藤さんの優しいだけの言葉につられて会社を辞め、旅館を手伝いにきた美春くんが元気になっていく姿にこちらまで励まされました。後半、藤さんが美春くんを利用しようとしていたと発覚したときは、藤さんひどい!と美春くんと一緒に裏切られたような気持ちになったのですが、「俺を逃げ場所にしただけだろ」のセリフに頭を殴られたかのようにはっとしました。藤さんのいうことはなんでも一理ある気がしてしまいます。悪気がないから信じたくなってしまうのでしょうか。
一生懸命な美春くんが逃げずに藤さんに向き合ってくれて本当によかったです。旅館がみんなが納得できる居場所になりそうで安心しました。
それにしても藤さんの親孝行が突拍子もなさ過ぎて震えました。それは伝わらないよ……と考えると切なさを覚えつつも、そうとわかれば彼の全ての言動が微笑ましく思えてきました。
<オススメ>
・ちゃらんぽらんだけど闇のある元AV男優×社畜リーマン。
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(感想記事はこちらです)
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