＜登場人物＞
（攻）九十九（ツクモ）…竜型竜人。大型。元は人間で、人の姿にもなれる（ただし消耗が激しい）。
（受）黒鉄紫（くろがね むらさき）…高校生。一軒家で一人暮らしをしていた。
＜あらすじ＞
突然倒れたミアカシのため、病院へ急いだツクモ。しかしその途中、かつてツクモにひどい扱いをした同級生・外間の姿を見かけます。ツクモは紫に心配をかけたくない一心で動揺を隠そうとしますが、大切なことを話してくれないツクモに紫は苛立ちを覚えます。
＜感想＞
シリーズ完結巻でした。そういえばツクモって竜返り前も仕事をしていたと言っていたし、紫より年上だったんですね。かわいい見た目に年齢の概念なく眺めていたのですが、まだ高校生の紫に心配をかけたくないとがんばる姿は年上っぽくて新鮮でした。
ただそれが紫にとっては、両親がしたのと同じ隠し事。どんなに相手を気遣っての態度でも、子ども扱いのまま頼ってもらえないのはつらい。大変なときこそ恋人なら話してほしいですよね。ふたりのすれ違いが最終的に市場のみんなを巻き込む大騒動に発展していましたが、おかげでみんなが分かり合えたようでよかったです。ツクモと紫のように、単純に相手を大切に思う気持ちが世の中をよくしていくのかもしれません。
紫の両親、ツクモの過去の因縁などを通して、様々な姿の人が暮らす社会について考えさせられました。店長とミアカシさんのお話は特に印象に残っていて、私も興味本位で目の前の相手を傷つけてはいないか、我が身を振り返ってしまいました。竜人さんがたくさん登場するファンタジーではありますが、現実に繋がる部分もたくさんあって勉強になります。
カバー下には特異竜人のヤマトさんと蓮のお兄さんが登場していました。優しそうな見た目に反し、ヤマトさんよりも強いらしい蓮のお兄様。本編でも一瞬のうちにすごい活躍を見せてくれたので、彼のこれまでとこれからがとても気になっています。
＜オススメ＞
・シリーズ完結編。
・年上でさみしがりの大型竜人×孤独な高校生。
＜関連作品＞
・電子書籍（お試し読みができます。）
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