ビッチなスズキくん /三原可楠 【漫画感想】

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<登場人物>

 (攻)須崎(すざき)…大学生。コンビニバイト。両親はカナダに住んでいる。

 (受)鈴木(すずき)…フリーターのコンビニバイト。


 (攻)オーナー…コンビニのオーナー。店をいくつか経営している。

 (受)圭(けい)…コンビニの雇われ店長。


 堺(さかい)…大学生。コンビニバイト。実家は北海道。


<あらすじ>

 コンビニバイトの大学生・須崎は、大好きなスズキくんと付き合うために今までの人間関係を整理したり、スズキくんの好きなものを研究したりと一生懸命アピールしています。しかし、スズキくんにはキモがられてばかりで、身体の関係はあるのになかなか振り向いてもらえません。


<感想>

 重い実先生の別名義、三原可楠先生の「怪作」と呼ばれるにふさわしいなんだかすごいお話でした。まず、本がコミックス2冊分は超えそうなくらい分厚いです。これで本体価格787円はかなりお得なのではないでしょうか。

 説明するのがかなり難しい内容だったのですが、強いて言うなら、コンビニバイトの須崎が孤独なフリーター・スズキくんをひたすら追いかけるお話……ということでいいのでしょうか。そこに他のバイトさんや店長、オーナーの人間模様も関わってきます。

 ミステリアスなスズキくんですが、冒頭からとてもシビアな人生を送ってきたことがうかがえます。スズキくんはあまり自分の胸のうちをはっきりと語らないので、正直彼の気持ちがどう動いているのか、読む人によって受ける印象が違うのではないかと思えます。特にスズキくんの堺さんへの感情はどう受け止めればいいのか、読むたびに考えてしまいます。

 オーナー×店長も想像を絶するシビアさでした。オーナーと店長にとっては堺さんは当て馬のはずなのに、事情を知って身を引く彼が私にはとても男らしくかっこいい人に見えました。覚悟のない子供というよりは、身を弁えた大人に見えたせいかもしれません。

 お話のラストはハッピーエンドだと思いますが、少し含みもあるように感じました。ですがモヤモヤするというのではなく、こうかもしれないな、と考えられるくらいでした。

 描き下ろしの「カナダにて」も、なんだか切なかったです。ですが須崎が想いを新たにするきっかけにもなっていて、このあとふたりの絆はきっと深まっただろうな、と思える良い余韻を残してくれました。最後のあとがきのおもしろさが救いです。

 はっきりわかることの方が少ない気がしますが、おもしろかったことは確かです。この感じを「怪作」と銘打ったお方は本当にすごいと思います。


<オススメ要素>

・個性的なキャラと商品が入り乱れるコンビニ。


<関連作品>

・電子書籍(お試し読みができます。)

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